姫君とダンジョン突入
「そう言えば御子神先輩のキャラ名ってなんなんですか?」
「えー、うちは§猫天使アカネ§やってん」
「あー、その名前、何か見たことあったかもしれないでござるな」
「うちら3人はね。ゲームでは全然絡んでなかったの。」
「そうだったんですか?」
「お互いに3人ともLROやってるの知知らへんかったよ。事件が起きてから初めて同じ学年に二人もLROプレイヤーいるの知ったくらいやし。」
「じゃあ改めて、お互いにレベル確認しましょうか。僕はユイ・フォン・フロイツハイム。古の王族でウォープリンセスのLv99でした。」
「拙者はゲンサイ、人族聖堂騎士のLv99だったでござる。」
「僕はアルバート。人族のソーサラーのLv99でした。」
「うちは§猫天使アカネ§、ミトラのシャドウストーカーのLv62やってん。」
「僕は耳長さん、エルナリアのビショップでLv72」
「俺は拳神ハルク、ロックナイトのLV61だな」
「さすがにお姫ちゃんの仲間はレベル高いねえー」
「一応、これでもサーバートップ組だったでござるよ。もちろん半分以上は姫のおかげでござるが・・・。姫が仲間に居なかったら今もレベルはカンストしていなかったでござろうな。」
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「偶然にしてはクラスがそろっていますね。タンク2枚に後衛アタッカー1枚、物理前衛1枚、ヒーラーが1枚にバッファーが1枚。この構成だと僕は後衛かなあ。」
そう僕はまとめた。
ロックナイトはパイルバンカーと言う専用装備を使うことによって鈍器の攻撃に弱い敵に対して絶大な攻撃力を発揮するタンカーとアタッカーの中間のクラスだ。
尤も特定の役割に振り切った方が強くなるゲームにおいてはかなりロマンに振ったクラスと言える。
また、気絶やノックバックを発生させるスキルを多数所持している。
今は出来なくなったが、昔は鈍器と盾の両方でそれぞれスタン(気絶)攻撃を出すスキルがあり、両方の手で延々とスタン攻撃をするハメ技があってPvPで猛威を振るった時期があった。
「ところでお姫ちゃん。例のスキルは使えるの?」
「使えますけど、LV+1%なのでほとんど役に立たないですよ。?」
「それならええわ。Lv10だと+11%って事やろ?それくらいまでならサクっと上がるわ。ダンジョンが出来たら、規制がかかる前にレベルをある程度上げたいんよね。」
御子神先輩は普段の気安い口調からは想像が付かないほどかなり野心に燃えているようだ。
御子神先輩たちが僕らの教室に来たことによって、廊下は一目僕らを見ようと黒山の人だかりになった。
特に女子になった僕と、ミトラになった御子神先輩に注目が集まっている。
初日なのでちょっとした仕草や動きに反応してどよめきが起きる。
「何かやり辛いですね。」
「みんなそのうち飽きて興味無くなるで。あと2-3日の辛抱や。今だけや。今だけ。注目を浴びてるうちに、芸能人気分味わっておこうや。」
御子神先輩の前向き(過ぎる)考え方に僕はいたく感心した。
「問題があるようなら、拙者たちが動くでござるよ。」
こうして、ダンジョンが発生するまでの3日間、昼は御子神先輩たち3人と過ごした。
御子神先輩が来るようになってから、僕と御子神先輩と一緒に写真を撮りたいと言ってくる女子に対応するようになった。
「みんなのアカネちゃんと、姫ちゃんをよろしぅな。あ、SNSには上げんといてね。」
特に御子神先輩はノリがよく、みんなに人気があった。
メッセージが出てからキッチリ72時間後、システムメッセージ通りにダンジョンが発生した。
ダンジョンは僕らの学校のグラウンドの片隅に発生した。
最寄りのダンジョンの場所は何となくどこにあるか思い浮かんだ。
これは転生者全員が分かった様だ。
発生したダンジョンは僕らの学校の近くだけではなかった。
全国で多数のダンジョンが発生していることが後からわかっている。
ダンジョンが発生しました。初期クエストの発行までにLv5まで上げておきましょう。
初期クエスト発行まで・・・・72:00:00
僕らは前と同じに、保健室に言って養護教諭に報告した。
もちろん先輩方3人も来ていた。
それから、少し具合が悪いと嘘をついて、僕らはダンジョンに潜ってみることにした。
ダンジョンの場所はすぐに報告されたため、自衛隊か警察(場所によるらしい)によって立ち入り禁止にされるとのことだった。
そのため、少しでもLvを上げておきたかったのだ。
ダンジョンの入り口は半透明の濃い紫色の渦巻きを上から見たようなものだった。
天気予報に出てくる台風の目のような感じだ。
模様は複雑に動いており、普通ではない雰囲気がある。
岩田先輩が仕切る。
「よし、全員、武器と防具を装備。耳長とユイは後ろに下がっていてくれ。」
「それなんですけど・・・・。僕は前衛も出来るので時々交代していただけるとありがたいです。僕もカンは取り戻しておきたいです。」
「分かった。俺か中島がどちらかが交代する。しかし、状況によるぞ。ウォープリンセスが前衛も出来るとは言っても本職には敵うまい?」
「分かりました。それで構いません。経験値拡張はパッシブなのでパーティー全員に自動的にかかります。ただし、低レベルのうちは効果はわずかですよ?」
僕は見習いの剣を手に持った。
魔術師系の2人は見習いの杖を構える。
「もしレベルが圧倒的に上の敵が出てきたらすぐに撤退する。いいな?」
「「「はい」」」
「はいにゃ」
「了解」
ダンジョンのゲートをくぐるとそこは想像を絶する世界だつた。
中は想像していた薄暗い地下迷宮ではなく、草原が広がっており、まるで屋外のようだった。
僕らは緊張しながら周りを見回す。
暫く草原を歩くと角の生えたウサギを見つけた。
「角兎みっけ。」
御子神先輩が突撃して、一刀の元に切り伏せる。
死体が残り、アイテムがドロップした。
「毒消しポーションかぁ・・・。」
そのあと、角兎を30羽ほど狩って全員のレベルが3になった。
「明らかにゲームよりアイテムドロップが多いですね。」
「兎は毒消しポーションばっかやなぁ。それにしても死体がグロいなあ。」
「ゲートの位置を見失わないようにしないと。」
僕は遠くなったゲートの方を見る。
「あ、スキル使えるようになりましたね。」
「何々?」
「えーと・・・力の戦舞です。STR、AGI、VITを3%強化と恐怖耐性ですね。端数は切り上げなので最低でも+1は強化出来ます。」
「やっぱ低レベルのスキルはショボいなあ。」
「そうですね。特にプリンセス系のバフは効果が今一つだったので・・・」
そう言って僕は苦笑する。
プリンセスと言う名前に似ず今3つくらいのバフ揃いで早々にネタ職認定されたのを思い出す。
ただし、モーションが猛烈に煽情的でネタ職と言われた所以になっている。
「何か来ますよ。」
僕の一言に全員が緊張する。
現れたのは角兎ではなく、ゴブリン5体だった。
Lv3になったので、全員が最初のスキルを使えるようになった。
「アースバインド」
アルバートが敵の動きを止める。
「ほい、パワースマッシュ」
御子神先輩と中島、岩田先輩はファイターの基本スキルパワースマッシュを叩き込む。
パワースマッシュはMPを消費して強力な一撃を叩き込むスキルだ。
ゴブリン三体が倒れる。
先ほど拘束した一体に加えて残りの1体もアルバートのアースバインドで動きを拘束され、前衛に倒された。
暫くゴブリンを狩って全員のレベルが7になった。
ゴブリンまでなら特に問題なく倒せることが分かった。
これだけでもかなりの収穫だろう。
ゴブリンからは皮の鎧とHPポーションが幾つかドロップした。
「そろそろ上がった方が良いだろう。」
岩田先輩がそう言った。
「せやけどあと少し頑張ってLV10までは上げたいなあ。」
「時間的にも今日はこの辺にしておいた方かいい。ダンジョンから出たら恐らくはかなり怒られるだろうな。みんな停学くらいは覚悟しておけよ。」
「気が重いでござるよ。」
僕らは全員で話し合って規制がかかる前にダンジョンに突入することを決めたが、それでも怒られたいかと言われるとそうではない。
案の定、ダンジョンから出ると自衛隊が入り口を封鎖しており、僕らが中から出てくると、先生を呼ばれてガッチリ怒られた。
停学にはならなかったが、後日全員でお説教されることになった。
その日はもう遅かったので解放された。
装備以外のドロップ品は貢物と言うことで全部僕が貰った。
全員揃って、「姫への貢物です。」ってなんだかなあ。




