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薄紫色の髪とターコイズブルーの瞳の姫君

20XX年6月1日 2:02


「眠い・・・・。遅くまでやり過ぎたかなあ」


僕は3D MMO RPG Lost Relic Onlineのログイン画面を見ながら、つぶやく。

ゲームを終了し、買ってもらったばかりの新しいゲーミングPCの電源を落として、ベッドに横になると、あっという間に眠りに落ちた。



同日 7:15


「お兄、朝だよー」


「ん・・・。後5分」


もう朝か。


「もー、また夜遅くまでゲームしてたんでしょう・・・って、お兄声がおかしくない?風邪でもひいた?」


僕は惰眠の延長を求めて、布団をかぶってベッドの中で恵に背を向ける。


恵は僕の2つ年下の妹だ。

兄弟仲は悪くない・・と思う。


恵は横になった僕の肩の辺りを布団越しに掴んでゆさゆさする。


「んー」

僕は観念してベッドの上で半身を起こす。


意識はまだぼんやりしていたが、恵の驚いた表情が妙にはっきり映る。


恵は慌てて部屋から出ていく。


階段を慌てて降りる音がはっきり聞こえた。


「お母さん、お兄の部屋で知らない女の人が寝てるー!」

恵の声が部屋まで聞こえた。

ドアは開けっ放しだった。


何言ってるんだあいつは。

僕はこの騒動で完全に観念して、布団から這い出し、ベッドのへりに腰かける。

しかし、まだかなり体が怠い。

がっくりと肩を落としながら、体の怠さが取れるのを待った。

さすがに夜更かししすぎかもしれない。


新しく買ってもらったゲーミングPCで連日、今話題の3D MMO RPGをプレイしていた。

ゲーム機版の発売はまだ先なので、ゲーミングPCでLost Relic Onlineをプレイするのは選ばれた存在であるかのような優越感を感じていた。

去年は受験でろくにプレイできなかったが、昔の親のおさがりのボンコツと比べると雲泥の性能の今のPCでプレイするゲーム画面の美しさは格別だった。



恵の大袈裟な声に引っ張られて、朝の準備で忙しい母さんまでが二階に上がってくる音がする。


「なんだよ、大袈裟な話にしやがって」

体の怠さも取れないし、声も何か変だ。

いよいよ風邪でもひいたのだろうか。

しかし、僕はこの時、本当にかなり深刻で大袈裟な話になっていることに気が付いていなかった。


足音が近づいてくる。

母さんと恵が僕を見て、目を見開いている。


「あなた・・・誰?」


「なんの事?母さんもその年で恵と一緒にドッキリかよ・・・・。ん、うんっ・・・・」

僕は咳ばらいをしたが、声の調子は戻らない。


恵は僕の手を引き、部屋の姿見の前に連れていく。


「なんだ・・・・これ」

僕は鏡に映った姿に驚く。

そこには、恵に手を引かれた薄紫色の髪をした少女が立っていた。

目を見開き、口を少し半開きにしている。

素の自分でやるとかなり間抜けな表情だが、そこには絶世の美少女が映っているため、かなり絵になっていた。

その美少女は僕が寝間着代わりに使っているTシャツとトランクスを履いていた。

多分僕に間違いないんだろうなあ・・・・


「嘘だろ・・・・」

僕はガックリとうなだれて再びベッドのへりに座った。

僕は母さんを一瞥する。


「アンタ・・・裕樹なの?」


「信じられないかもしれないけど、裕樹だよ。昔飼ってた犬の名前はジャック。5歳の時に死んだよね。僕が7歳の時に恵が野良犬に噛まれそうになって庇った傷跡が左手にあるはずだけど・・・・無くなってるね」


そうして僕は左手を確認してから2人に見せる。


そこから僕は僕や家族しか知らないことを説明する。

2人は最初は僕を不審な目に見ていたが、徐々に目から疑惑の色が消えていった。

一番最初に立ち直ったのは恵だった。


「お兄凄い。美少女に変身?美少女戦士?」

ちょっと前まで見ていたアニメに引っ掛けているようだ。


「何も凄くねーよ。これ、学校とかどうするんだ・・・?」

そう言いながら、僕は段々と気分が悪くなっていくのに気が付いていた。


学校と言う単語を聞いて母さんが僕の隣に座る。


「アンタ、顔真っ青よ」


「具合が悪い、それもかなり・・・吐き気もする。風呂場に連れて行って。吐くかも・・・」


そうして僕は恵と母さんに手を借りて風呂場に行った。

途中父さんが何事かとこちらを見て、ギョッとしていた。


僕はもう立っていられないほど具合が悪くなり、後から母さんに聞いた話では顔色はもう真っ青になっていたそうだ。


これが漫画とかアニメなら、美少女になってキャッキャウフフしながら色々試すのだろうが、現実は甘くない。

美少女になって最初にしたことはゲロを吐いたこととお漏らし・・・失禁したことだった。

着ていたパジャマ代わりの白いTシャツとトランクスは汚れた。

大の方はギリギリ風呂場から這っていってトイレに流せたが、僕はそのまま意識がもうろうとして、その場に崩れ落ちた。


後の始末は恵と母さんがやってくれたそうだ。

父さんは、僕が美少女になったことに驚きつつも会社に行った。

日本の企業戦士スゲエ。

恵は最後まで僕を心配していたが、母さんに強く促されて、学校に行った。


次に僕が目を覚ましたのは、ベッドの上だった。

時間は丁度お昼時だ。


僕は起きだして、またベッドのへりに座る。

少し小さいパジャマに着替えさせられていたが、これは恵のだろう。

胸のあたりがかなり苦しい。


昼になると、母さんが部屋に入ってきた。


「裕樹、ご飯食べられる?」


「ありがとう。でも無理みたいだ・・・学校は結局サボりか・・・」


「学校には休むと電話しておいたわ」


「僕のことは・・・・説明したの?」


「言うわけないでしょ。もし、体が動くなら、居間に降りてニュースを見なさい」


僕は母さんに手を借りて居間に降りていった。

ソファに座り、つけっぱなしのテレビを見ると、丁度、僕に関係のあることがニュースで流れていた。


「・・・・姿が変わってしまうという現象が全国で発生しています。変わった後の姿は何れもトライアングルソフトウェアのゲーム[Lost Relic Online]のキャラクターに酷似しており、同社に関係あるものとして任意で事情を聞いております。姿が変わってしまった方は全国で数万人はいると見られ、社会を揺るがす騒ぎとなっております」


僕は母さんの方を見る

「これか・・・・。僕だけじゃなかったんだ・・・」


「全国で数万人っていってるわね。何か心当たりある?」


「その前に、まだ自分がどんな姿になったのかよくわからないから鏡で見てくる」


僕はいうと玄関にある姿見の前に行った。

あまりにも調子が悪かったため、よく見る余裕がなかった自分の姿を見てみる。

改めて見ると、ちょっとは見ないような美少女がそこにいた。

身長は160cmくらいだろう。元の身長が175cmだったから、一回り縮んだような印象を受ける。

体はかなりスレンダーだが、胸と腰回りは丸みを帯びて、恵の小さなパジャマの上から自己主張している。

薄紫色の髪はサラサラで、輝くような艶があり、目は少し気の強そうで、それでいて、優しさも感じさせるような柔らかさもある。

瞳の色は特徴的なターコイズブルーだった。

薄紅色の唇とつややかな肌、これから絶世の美女になるのだろうと予感させる雰囲気が十分にあった。

体調が良くなかったので少しやつれて見えるが、その美しさは寸分も損なわれていなかった。

年齢はどのくらいだろう・・・ちょっと幼い感じで14才前後に見える。

間違いない、僕がLost Relic Onlineで作ったキャラクター、「ユイ・フォン・フロイツハイム」だった。

「うわ・・・」

ちょっと盛り過ぎなくらい盛っている超絶美少女がそこにいた。

さすがゲームキャラ。

僕が怯むと鏡の中の美少女も怯む。

今までにない新鮮な感覚だった。


多分なろう初

TS転生した直後にゲロ吐いて失禁した上に大まで漏らすエンガチョヒロイン

ユイちゃんの登場ですw

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