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愛野 陽子

『夏の焦れ恋 紺野 至』のアナザーサイドになります。

元気いっぱい少女、陽子ようこいたるへの思いとは……?


どうぞお楽しみください。

 いたるにーちゃんが!

 至にーちゃんが帰って来たって!

 都会に住んでる至にーちゃん!

 去年と一昨年は色々あって、全然会えなかった!

 至にーちゃんに会えない間に、私中学生になったよ!

 至にーちゃんも高校生になったんだよね!

 走っても走っても、気持ちの方が先に進んじゃう!

 着いた! いた! 寝てる!


「至にーちゃん!」

「!?」


 縁側から声をかけたら、びっくりしたみたい。

 コメツキムシみたいに跳ね起きた。


「お前、陽子ようこか!?」


 一目見て私だってわかってくれた!

 背も結構伸びたし、髪型も変わったのに!

 嬉しい!


「良かったぁ! 今年は来てくれたんだね!」

「お、おう……」


 あれ? 何か元気ない?

 暑いからかな! きっとそうだ!


「ねー! 遊びに行こー!」

「遊びにって、どこに……」

「川!」

「川って……」


 あー、めんどくさいって顔してる。

 お休みの日のお父さんみたい。


「暑い時は川だよ! ほら行こう!」

「わかった! わかったから引っ張るな!」




「とーちゃく!」

「おぉ、変わらないな、ここは」


 うん! 至にーちゃん元気になった!

 部屋の中でごろごろしてると、気持ちまでごろごろしちゃうもんね。


「わーい!」


 腰くらいまでの深さのところに飛び込む!

 足の間とか腰の周りを水が撫でていくのが、くすぐったくて気持ちいい!


「ひゃー! 気持ちいー! 至にーちゃんも入りなよー!」

「いや、ジーパンで水に入ったら、重くて動けないだろ」

「じゃあ脱げばいーじゃん」

「は?」


 ? 何で至にーちゃん、驚いてるんだろ?


「昔はパンツ一丁で遊んでたじゃん! 水着と一緒だよ!」

「いや、そんな事ないだろ」

「あるって! ほら!」


 濡れた服を脱いで岩場に置く。

 うん、この方が軽くて動きやすい!


「ほらー! 水着と一緒じゃん!」

「……いや、その、お前、いくら何でも……」


 ? 何でこっち見ないんだろ?


「さ、至にーちゃんも脱いで脱いで!」

「え、いや、その……!」


 もー、昔は一緒に飛び込んでたのにー!


「……ちょっと待ってろ!」


 至にーちゃんはポケットの中を慌てて出して、靴と靴下を脱いだ。


「とう!」


 水しぶきが上がる!

 そうそう! こうじゃないと!


「おー! さすが至にーちゃん! でもズボン脱がないで良かったの?」

「……これでいいんだ」


 ふーん。動きにくそうなのに。

 あ! そーだ!


「じゃあ魚何匹捕まえられるか競争しよう!」

「うぉ!? わ、わかった……」


 昔は至にーちゃんに一回も勝てなかったけど、今日こそは勝てるかも!

 私は穴場に向かって、川の水をかき分けて走った。

読了ありがとうございます。


この夏の記憶が、将来顔真っ赤にして布団でじたばたする黒歴史になるんでしょうねぇ……。


次話もよろしくお願いいたします。

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