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鬼崎 大知

『夏の焦れ恋 連雀 伊織』のアナザーサイドになります。

伊織、琢磨、大知を巡る恋の行方は……?


どうぞお楽しみください。

琢磨たくま……」

「何だい大知たいち

「……今度の大会、応援に来てくれねーか……?」


 絞り出したような声に、琢磨の反応は予想通りだった。


「うん、いいよ。何日だっけ?」

「あぁ、えっと……。これ、チラシ」


 あぁ、くそっ。

 男の俺から見てもこいつはイケメンだ。

 顔もそうだが、日程を確認する前に了承する心意気。

 連雀れんじゃくが惚れるのも無理ねーよな……。


「じゃあこの男子の部に行けばいいんだね?」

「……いや、女子の部の方に来てほしい……」

「え、何で? ……まさか大知、女子の部で出るの?」

ちげえよ! ……その、連雀が、お前に応援に来てほしいって……」

「あぁ、伊織いおりちゃん? 去年の大会は凄かったね」


 さらっと名前呼び。

 一緒に部活やってる俺ができねーのにこいつは……!


「でも何で? 僕あんまり接点ないんだけど」

「……連雀が、お前が応援に来たら勝てるって言うから……」

「僕にそんなスキルないよ?」

「知るかよ。とにかく頼むぞ」


 吐き捨てるように言って教室を出ようとする。

 その肩を琢磨が掴む。


「……何だよ」

「大丈夫?」

「……何が」

「悔しそうだったから」


 悔しい……?

 ……あぁ悔しい。

 確かに悔しい。

 連雀のモチベーションが琢磨な事も。

 そんな連雀に全然勝てない事も。

 連雀が勝たないと、部が大会で結果を残せない事も。

 そのために琢磨に頼まざるを得ない事も。

 何もかもが悔しい……!


「このまま僕が応援に行って伊織ちゃんが勝ったらさ、僕は勝利の立役者になっちゃうよね?」

「……まぁ、連雀が言う通りなら……」

「それって伊織ちゃんが僕の事好きって事なのかな?」

「……多分、そーじゃねーの……」

「その勝利の喜びの勢いで告白なんかされたら……、どうしよう?」

「っ」


 途端に胸に痛みが走る。

 何でだ?

 琢磨はいい奴だし、連雀が琢磨の事を好きなのは間違いない。

 似合いのカップルだと思うのに、何が俺の中に引っかかっているんだ?


「大知も大会出るんだよね?」

「……そうだけど」

「なら優勝しなよ」

「……簡単に言うなって」

「もし優勝出来なかったら、僕は伊織ちゃんに告白するよ」

「なっ……!」

「嫌なら優勝してよね。約束通り応援に行くからさ」

「……!」


 何だこの胸の中の熱は!

 琢磨はいい奴だ。

 連雀と付き合っても、何も悪くないはずだ。

 ……ないはずなのに!

 大会でも、琢磨にも、絶対負けたくないって闘志が燃え上がる!


「……何が何でも勝ってやる……!」

「楽しみにしてるよ」


 胸に集まる熱を右手で握り、俺は教室を後にした。

読了ありがとうございます。


焦れの王道、三角関係。

伊織が情熱で琢磨と結ばれるのか?

大知のまだ完全には自覚していない想いが伊織に届くのか?

はたまた琢磨と大知の友情が深まるのか?(意味深)


お好きな結末をご想像くださいませ。


次話もよろしくお願いいたします。

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