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月岡 舞

『夏の焦れ恋 治部田 累』のアナザーサイドになります。

軽薄な告白をいなし続ける舞の内心とは……?


どうぞお楽しみください。

まいー! 今日もかわうぃいねー! 大好きー! 愛してるー!」

「うっさいバカるい。あんたいい加減にしなさいよ。高校生にもなってバカな事ばっかり言って」

「怒った顔もソーキュート! ねー、チューしていい?」

「いいわけあるか!」


 全く……。

 小学生の時のノリもいい加減にしてほしい。

 心のこもってない軽い告白。

 嫌いなら言わないけど、本当に好きでも言わない言葉。

 その中途半端さが私を苛立たせる。


「はぁ……」


 抜け出す方法は知っている。

 「あんた、本当に私の事好きなの?」と問い詰めればいい。

 でもそうしたら、どっちにしても今の累との関係を失う事になる。

 私は卑怯だ。

 苛立ちの半分は、自分に向けられていた……。




 夏休みになった。

 模試の結果はA判定。

 子どもの頃からの夢への確かな手応え。

 でも何だろう。

 思った程の高揚感がない。


『スッゲーじゃん舞! 流石は俺の嫁!』


 思い浮かぶのは、累の軽薄な褒め言葉。

 あんなのが聞きたいなんて、疲れてるのかな。

 ……いや、慣れさせられちゃっているんだろうなぁ。

 学校がある時は、当たり前に累がいて、当たり前に好意を向けられていたから。

 あぁ、夏なんか早く終わればいいのに。


「あれ? 累じゃない」

「!?」


 久しぶりに会っちゃった!

 な、何話したらいいんだっけ!?


「よぉ、今日も可愛いな」

「ウザ。あんた学校じゃなくてもそのノリなの?」


 動揺がすっと治まる。

 文句は色々あるけど、やっぱり累と話すと落ち着く自分がいる。


「お前どっか行くの?」

「図書館で勉強」

「受験生だもんな」

「あんたもでしょ」

「外語大だっけ? 小学生の時からの夢だったもんな、外交官」

「へぇ、覚えててくれたんだ」


 意外。

 私の昔の夢なんて、とっくに忘れてると思ってた。

 ちょっとだけ嬉しい。


「あのさ、舞……」

「何よ」


 え、何?

 急に真顔?

 累のこんな顔、久しぶりに見るな。


「俺さ、あの……」

「何」

「えっと……」


 顔真っ赤にして、口籠もって、まるで真剣な告白……。

 って累に限ってそんな事ないよね。

 だとしたら体調が悪いのかな?


「あんたホント大丈夫? 熱中症とかなら飲み物買ってこようか?」

「……い、いや、大丈夫……」

「そう? じゃあね」


 累に別れを告げると、図書館に向かって歩き出す。

 角を曲がったところで、肺の空気が全部出る程の溜息があふれた。

 何で何で何で!?

 心臓も凄い勢いで脈打ってる!

 何で何で何で!?

 真剣な顔を見ただけで、こんな……!

 き、きっと夏のせいだ! 暑さのせいだ!

 早く学校始まって……!

読了ありがとうございます!


夏「はいはい俺らのせい俺らのせい」

暑さ「俺らのせいでえーからはよくっつけや」


学校でいつも通りのやり取りができるのか、否か。

どっちにしても一波乱ないとくっつきそうにないこの二人。

卒業まで半年。

はやくしろっ! 間にあわなくなってもしらんぞーっ!


次話もよろしくお願いいたします。

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