表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

最終話 170nm≧の生命体には進化する権利がない

 それから170億年が流れ、かつてジャッター星系と呼ばれた宙域にある惑星の海中に新たな生命が誕生していた。


 極めて原始的な生命体であるそれらは自らを複製する能力を獲得し、いずれは細胞に、そして生物になろうとしている。



(こんにちは! ぼくは水の上にある気体に触れても耐えられるんだよ。ねえねえ、ぼくと融合して一つになろうよ)

(そうなの? わたしは星の光を浴びて有機物を作れるけど……)


 原始的なミトコンドリアを獲得した生命体は、広い海の中で別の生命体と融合しようとしていた。


(ところであなた、やけに小さくない?)

(えっ? そりゃあ、ぼくは大きくはないけど……)


 その生命体は原始的な膜構造しか持たなかったが、直径はかつての人類の用語で164nm(ナノメートル)しかなかった。


(いやだわ、そんな小さな生命体と融合したって進化できないじゃない。他の人を誘ってちょうだい)

(あっ、待ってよ……)


 原始的な葉緑体を獲得した生命体はそう答えると海を流されていき、164nmの生命体は呆然としていた。


(くそう、ぼくだってもっと進化して大きな生命体になってやるぞ。そうだ、いつかはぼくらが10000000個もつながったぐらい、大きな生命体になるんだ!)


 より高度な生命体への進化を目指して、164nmしかない彼は広い海を流されていった。



 新たな生命の歴史は今この時、170nm以下から始まるのだ。



 (完)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ