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第3話 170km≧の宇宙戦艦には戦闘権がない

 地球上で巨人族と化してしまった人類だが、彼らの一部はウイルスの影響を逃れるべく宇宙船に乗って外宇宙へと移民していた。


 彼らは地球を()ってから170万年の歴史の中で高度な星間文明を築き上げたが、いくつもの恒星系に分かれた人類は恒星系同士で宇宙戦争を繰り広げるようになっていた。



「それでは父上、行って参ります。ラクシャー星系の反乱軍どもを打ち倒し、帰還した(あかつき)には許嫁(いいなずけ)を妻に迎える所存です」

「ああ、行ってこい。お前は190km(キロメートル)級の新鋭艦を与えられているからそれだけの活躍はしてみせろ」


 ジャッター星系を統べる大貴族の長男であり宇宙軍のエースである彼は出陣の日を迎えて父親に敬礼をした。


 星間戦争による犠牲を最小限に抑えるべく現在ではいかなる戦争も一人乗りの巨大宇宙戦艦同士の戦いのみで決着を付けるようになっており、巨大宇宙戦艦の操縦者はあらゆる国民から憧れの的となっていた。


 屋敷を立ち去ろうとした長男だが、屋敷の奥から誰かが走ってきた。


「待てよ親父、俺も兄貴と一緒に行かせてくれ。俺だって宇宙戦艦を手に入れたんだ」

「弟よ、命を無駄にしないでくれ。俺が戦死したら誰がこの家を守るんだ」


 自らも前線に赴きたいと言った次男に、父親である大貴族はやれやれといった表情で口を開く。


「気持ちは分かるが、お前の宇宙戦艦は全長164kmしかないではないか。それでは惑星防衛の任務は担当できても最前線に行くことなどできるはずもない。大人しくこの家を守ってくれ」

「くっ……」


 次男は諦めて自室に戻ったが、彼は覚悟を決めていた。


 この恒星系を統べる大貴族たちを打ち倒し、170km級以上の巨大宇宙戦艦を持っていなくても戦争に参加できるようにする。



 彼の決意は、後に恒星系全体を揺るがすこととなる。

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