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加藤良介 エッセイ集

艦これから見るミリオタへの考察

作者: 加藤 良介

 皆さま突然ですが「艦これ」は御存じでしょうか。

 有名ですよね。有名ですよね。

 というわけで艦これが何かとは一切スルーして本題へ。


 「艦これ」はミリオタを救った。

 これがこの考察の私の結論であります。

 では救われたミリオタとは何ぞや。それは軍事関係の情報に強い執着を持っている連中でございまして、カタギの皆様が想像している以上に色々な流派と言いますか派閥がある分野です。

 皆さまの周辺にミリオタの方はおられますでしょうか。恐らくあまりいないと思います。そうなんですミリオタは今や絶滅危惧種と言っていいオタクなのであります。

 かつては男の子の趣味として第一位の地位を築いていたミリタリーですが時代の流れに飲み込まれ人数を減らしていきます。

 その最大の理由は。

 「新規さんに超不親切な業界」だからです。

 「そんなことないでしょう。本屋に行けばその手の本は必ず置いてあるし、おもちゃ屋にはプラモデルがたくさんあるじゃないか」

 その通りです。初める敷居は他の趣味に比べて特別高いわけではありません。

 一人でこっそり嗜む分には問題ありません。

 でも、一人でやっても寂しいじゃないですか。

 誰かと語り合いたいじゃないですか。

 そうです。この語り合うのがミリオタ最大の鬼門なのです。

 あえて言い切りましょう。二人のミリオタがいるとして彼ら彼女らの意見が一致することは、まず起こりません。

 何かしらの意見、見解の違いが起こります。

 当然と言えば当然のことなのです。

 ミリタリーの守備範囲はとても広いのです。学問に片足突っ込んでいる趣味なのです。

 例えば、陸軍、海軍、空軍に分かれ、そこから日本、ドイツ、イギリス等の国に分かれ時代、年代に分岐し最終的には歴史、経済学にまで話が分かれていきます。

 さらに映画、小説、漫画、アニメ、写真、手記、実物見学などのコンテンツも豊富。

 これらの膨大な資料を読み込み知識を蓄えたのがミリオタと呼ばれる変態なのです。

 知識だけを追求するのがミリオタではありません。サバゲーを楽しむみ屋外行動を行う人々もいらっしゃいます。この方々は銃火器について豊富な知識を持っている方が多くいらっしゃいます。

 これでは意見が一致すれば逆にすごいことなのです。

 そして悲しいかなオタクというのはその些細な差が気になって仕方ない生き物です。

 そして、自らの正当性を証明しようとします。

 どうなるかというと、細かいデータを展開し相手の知識不足を指摘してしまい、いわゆるマウントを取るという状態が発生してしまいます。

 「なんだ。こんなことも知らないのか。一般常識だよ」

 的なことを言い出してしまうのです。

 友人同士であれば問題にならないでしょうが、ただのミリオタ仲間の場合は人間関係を損ないます。

 こんなことを数十年続けた結果。

 私の世代ではミリタリーオタクになる素養のある子供は軒並みガンダムに攫われてしまいました。

 皆がガンプラを買う中、37mm対戦車砲を買っている私。(すいません。ガンプラも買ってました)

 もちろん少しは同好の士がおりましたが、マイノリティーであることには変わらんのですよ。

 そして先細っていく業界を眺めつつ寂しく「りつくんランド」に遊びに行く私の前に現れたのが「艦これ」だったのです。

 

 艦艇を美少女化。

 私より上の世代のミリオタなら怒り狂いそうな設定でしたが、私には「これしかないな」という手法に見えました。

 なりふり構ってはいられないのです。

 多くの役に立たない知識を抱え込んでいる気持ちの悪い先輩が子供たちに教えてやる。というような構造ではミリオタは死に絶えるしかなかったのです。

 リメイクされたアニメ宇宙戦艦ヤマトに女性キャラが沢山出てきたのを憤慨しておられる初代ヤマト世代の方々がおられますが、「足元見てるのか、萌え文化を取り入れなければヤマトだって沈むんだぞ。危機感が足りないのではないのでしょうか」と言いたいのです。

 まぁ。萌えるぐらいなら沈んだ方がましだという意見も分らんではないですが。

 それまでミリタリーに全く興味がなかった人々が「艦これ」の二次元美少女と一緒に自然にミリタリーに触れていく様を目の当たりにして、一種の感動を覚えました。

 私より年下の人たちが

 「夕立がいいよな」

 「いや。育てるなら雪風でしょ。綾波もありだ」

 「なにお。雷を忘れてもらっては困る」

 「はいはい」

 「嫁艦は加賀かな。やっぱ一航戦でしょ」

 「俺は瑞鶴かな。ツインテだし」

 みたいな会話が繰り広げられておりました。

 夕立、加賀、一航戦。

 友人たちからついぞ聞いたことのない単語の応酬。

 皆さん。私の感動をお分かりいただけるでしょうか。

 ミリタリーは蘇った。

 カラオケでWe are the championsを歌うレベルですよ。(私も映画館で号泣した口です)

 もちろん「艦これ」楽しんでいる人すべてがミリオタになるわけではありません。でもその中の1%の人がミリオタになってくれれば、それだけで物凄い人数になるわけです。

 「艦これ」はたまにリアル知識を要求するようなところがあって、自然にごく自然に人々に軍艦や太平洋戦争の知識を植え付けていくのです。

 なんと恐ろしいゲームなのでしょう。そのうち中国辺りが「艦これ」は日本の軍国主義の象徴だとやり玉に挙げるに違いない。「アズールレーン?知らない娘ですね」

 

 こうしてミリオタは「艦これ」のおかげで一命をとりとめたのです。

 「艦これ」の大成功をうけミリタリー+美少女のコンビはフォーマット化され、様々なコンテンツが世の中に出回るようになりました。

 「ガルパン」などがその代表例でしょうか。主人公がⅣ号に乗っているところが分ってるねぇといえます。(私のこの感想が理解できればあなたも立派なミリオタです)

 

 ありがとう。艦これ。あなたは私たちの救世主だ。

 これからも頑張ってください。応援してます。後、甲勲章の難易度もう少し下げてください。お願いします。


                        終わり


これとは別に小説もUPしております。

よろしければ読んでやってください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >萌え文化を取り入れなければヤマトだって沈むんだぞ。危機感が足りない 感銘を受けました (`・ω・´)ゞ [一言] 爆笑いたしました!w その通りだと思います☆彡 あと、甲はむずいです…
[一言] 私は此処で批判されている(であろう)種類の老害ミリオタです。 サバゲやらナニやらの繋がりで十~三十代(考えたら何故か四十代だけいなかった)のミリオタとも交流があります。 常々思い知らされるの…
[良い点] 私も絶滅危惧種の部類ですが、艦これは間違いなく門戸を広げました。それだけは間違いないと思いますが… 改めて史実で艦これを見ると、涙なしには見れませんは…(´;ω;`) 逝った艦も遺され…
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