7.カメリア、訃報を聞く
月満ちて、寵妃様は無事にお子様をお産みになられました。
男の子だそうです。
上級妃以外が産んだ後継ぎたる男児は、然るべき身分の高い女性が養育する事になります。
今回選ばれたのは、王太后様でした。
「陛下は、何をお考えなのかしら?」
私は、申し上げた筈ですわ。
上級妃様を差し置いて陛下の子を産んでは、王太后様の御不興を買うと。
一月が経ちました。
先日、陛下の御子が亡くなられました。
死因は不明ですが、その責任を取らされ、王太后様が牢屋送りになったそうです。
まさか、陛下が王太后様をそのように扱われるなど、誰も想像し得なかったでしょう。
「何やら、外が騒がしいですわね」
「確認して参ります」
暫くして戻って来た侍女頭の報告に、私は驚く事になりました。
「寵妃様が乱心され、カメリア様を殺害しようと押しかけた様です」
「まあ!」
「お子様が亡くなられたのを、カメリア様の陰謀だと主張していらっしゃいました」
「……なるほどね」
一瞬、私を陥れる為かと思いました。
ですが、乱心した振りをしても何も良い事は無いのですから、芝居ではなさそうです。
乱心してしまわれたなんて、よほど、子への愛情が強いのでしょう。
後を追わないか、心配ですわ。
チェリア様が人を殺そうとした事は、当然、陛下の元まで伝えられ、チェリア様は無期限謹慎処分となりました。
陛下のお渡りも、無くなります。
離婚されずに済んだのですから、甘い処分なのでしょう。
ですが、我が子を失い、陛下の寵愛も失って、チェリア様は耐えられるのでしょうか?
そして、事件は起きました。
それは、王太后様が牢の中で亡くなってから、二週間後の事。
陛下が、チェリア様に殺されたのです。
無理心中でした。