表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

15 朝食準備  シェアハウス物語 第3シーズン-3

その夜はずっと雨が降っていたが、朝になると幕がいた

ように太陽が顔を出した。朝がお天気だと洗濯物を干したく

なるのは昔からだが、今日は絶対にそうしたいと思った。それ

とそろそろ衣替えもしておくころだし、夏物をしまっておくか。


「リサちゃん。手伝ってもらえるかい」

小川さんが呼ぶ声がした。

「はい。5分して行きます」

いつものように、5分程で超スピードメイクをしてから食堂へ

降りて行った。


ハウスの住人の人用の朝食の用意だが、ここは営業レストラン

でもあるので、外部からのお客さんも同じようにビュッフェ式

で食事をしてもらうのだ。とにかく野菜と果物を、私は、ただ

ひたすら切り続けた。20人分位で、手の込んだものはないと

は言うものの、大変な作業である。でも新鮮な野菜や果物を買

い出しに行くのも、こうやってカットするのも楽しい。


でも、和田さんが病院からハウスに戻って来て、この食堂にベッ

ドを置いてとなれば、お客さんは断るのだろうかと思って、卵料

理と定番のウンナーなんかを作っている小川さんに聞いてみた。


「私も最初は、そうした方が一番いいのかとも思っていたんだけ

どね。和田さんは、そんなに皆と話はしないけれども、自分以外

の人たちが美味しそうに食べているのを見るのは、とても好きだ

ったから、どうにかして、人が活気づいている場所に居させてあ

げられるようにと思っているのよ」


秋の空気を感じてもらえるように、食堂ではいつもとは少し違う

ハローウィンにちなんだディスプレイを中心にした配置にしたが、

数日前から私もお手伝をさせてもらっていた。

 

まだまだカットは続く。すでにカットされた野菜や果物は、朝早く

食べに来られたハウスの住人さんやお客さん向けに、小川さんがあざ

やかな色合いを盛り付けし、皆さんの前に並べられていた。


この時は、私たちも誰もが考えていなかったのだが、和田さんは病院

からもどって来る時は、自分でトイレに行けないほどで、ずっとベッド

に寝ていたのに、このハウスに戻って3日目には、私が今やっている

野菜と果物のカットを和田さんがやり始めたのであった。


それはあたかも、最後の命の炎が、勢いを増して燃えているような風にも、

その時の私には感じられた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ