駆け抜けて
何とか今日に間に合った!更新です。
次の日——とでもいうのだろうか。私はベットから起き上がる。
体の疲れも心のもやもやも綺麗になくなり、ステータスが回復していた。
寝起きは気怠さを感じるもののはずなのに、そんな様子もなく体が動く。僕って朝に強いのかな?……知識で記憶に創りかけていた。危ない危ない。
こうやって自己が形成されていくのかと少し身体を震わせて、これからやることを考える。
今日から毎日、HPになるかMPが尽きるまで戦おう。まずはLvを上げないと。
Now Loading ……
10日ほど同じ作業を繰り返してLvが7になった。作業内容としては
1 出入り口から10歩の所を行ったり来たりしながら、敵が出てくるのを待つ。
2 戦闘開始
3 ココボルトが1体のときは1撃で終わるため0、2体のときは1回は攻撃されるため4ダメージを喰らう。(避けられればいいのだが、そこまでの道幅と速さの面から難しい)
4 だいたいはゴルトを10体倒してMPが1になる。(偶に先にHPが半分になる)
5 元の大広間(と勝手に読んでいる)に戻ってベットに就く。
の5工程である。いや、纏めれば遭遇・戦闘・回復の3行程か。
Lvが上がるごとに個体値が5もらえる。また丁度99体目を倒したところで『火魔法【Lv1】を熟練しました』が、100体目で『称号:【コボルトの宿敵】を手に入れた』が表示された。
具体的に何か変わったかは分からない。倒しているのはココボルトだし。本当に不親切なゲームだ。
あとLv7になってようやく火魔法の次の魔法『バ・ヴォム【Lv1】(5)』を覚えた。『ヴォム』が敵に1個ずつ当たる全体攻撃仕様だ。
そのままにしておいた個体値も降り終わって現在、次のようになる。
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PN 熊沢 武
CN 2号
Job 見習い魔法使い
Age 8
Sex 男
Lv 7
Exp 306
HP 51/51 (5/1)
MP 51/51 (5/1)
Atk 2 (1/1)
Def 7 (1/1)
Mat 10 (1/1)+2
Mdf 7 (1/1)
Vit 9 (3/1)
Dex 9 (3/1)
Int 9 (3/1)
Agi 9 (3/1)
Luk 12 (3/1)
Skill 火魔法【Lv2】 無属性魔法【Lv1】 生活魔法【Lv1】
称号 【挑み始めし者】【コボルトの宿敵】
状態 健常
E 布の服【上】 布の服【下】 布の靴 布の下着【男】 木の杖
Gold 0
D 2
個体値 0/78
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今回はHPや守り系を意識しながら上げてみた。死んだら元も子もないからね。
より威力のある魔法が必要と考えて火魔法のレベルを上げ、『ヴォム【Lv2】(6)』を覚えた。
上がったステータスで色々試してみて頭に順応させる。これで今日の作業は終わりだ。
次の日。
今回は少し思い切って行けるとこまで行ってみようと思う。
ゆっくりと一本道を歩く。目測170cmの道幅は8歳児の僕には十分な速さだ。
慎重に進むと前方にココボルト2体が生れ落ちようとする。
しかし彼らが戦闘態勢に入るころには僕は真横にいた。
駆け出している僕はそのまま彼らを追い越して走り続ける。
「グガギャッ!?」
後ろから何か言っているが、振り向くことなく走り続ける。
再び前方にココボルトが出てくる。
しかし僕は止まらずに通り過ぎた。
続けて、更に続けて、もう一頑張り、これで最後だとココボルトが出現するが、それすらも追い越す。
そして十分に距離が離れたところで立ち止まり、すかさず反転。
「はぁ、はぁっ、バ、 はぁ、ヴォム」
息絶え絶えながらも、魔法はしっかり発動した。
『ココボルト達を倒した。Exp:27 獲得』
合計で9体、倒したらしい。
僕はその場に座り込み、息を調える。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
これが今回の作戦だ。
一体、どのステータスが関係しているのか、動きが早くなっていた。それを生かして彼らから逃げ、集まったところを全体魔法でドカン!だ。MP的にも距離的にも稼ぐことが出来る。
彼らは僕が歩くことでランダムエンカウントしてくる。ならばこうやって立ち止まって休憩すれば出てこない。
ゲーム性を逆手に取った中々の作戦だと思う。ゲームだと逃げたら追いかけてこないのはずだが。
いける!行けるぞ!
寝るごとに脱力感や無気力感は消えるが、決して現れることのなかった感情が僕の中に湧いてくる。
「はぁ、はぁ……なんだ、ここは……」
休み休みこの方法を行い、そろそろ魔力が半分切るかなという頃。
僕はいつの間にか一本道を走り切っていた。
ババババババババババババ——————
そこは大広間以上に広い空間で
「これは……滝、というやつか……?」
湖……滝壺っていうのか?まったく水のあふれることのないその場所の中心に
ババババババババババババ——————
目測100m越えの位置から水が垂直に落ちていた。
……は?
ババババババババババババ——————
滝の擬音ってどうつけたらカッコいいだろう?