初戦闘!
前回のあらすじ
死んだと思ったら謎の空間でキャラクターを作成することに。本当にゲームみたいだと思いながら、ランダムで決められた個体値を利用してステータスに振っていきました。Dexとか何それって感じだったけど、頑張ったと思う!作成が終わった僕は再び眠りにつくのであった。
三度、目を覚ます。そこは見覚えのある場所だった。
「戻ってきたのか……」
始めに目覚めた石造りの部屋に僕は立っていた。辺りを見渡すと前と何の変わりもない。
念のために場所の確認をすると『現在地:??? B3F』と表示がされ、やはり同じ場所であることを悟る。
服装は前と絶えして変わらないが、以前より体が小さくなっており、右手にはいつの間に持っていたのか木の杖を持っていた。
名前を確認すると『CN:2号』と表示される。
本当に生まれ変わったんだな……
スキルで魔法を覚えたため、実際に使用できるか試してみる。まずは炎魔法を使おうと思うと頭の中に『ヴォム【Lv1】(3)』と表示される。これを唱えればいいのか?
何もない方向に杖を差し向け「ヴォム」と唱える。
すると杖から大人のこぶし大の炎球が飛び出し、やがて壁に激突した。
ごぉっ!と音を上げながら消えた炎の先には少し焼けたような跡が壁に残っている。
想像より小さかったが、そんなものでも僕は安心感を覚えた。
他の魔法も調べてみる。
無属性魔法からはステータスの上昇の『スターチェ(Atk)【Lv1】(2)』、 生活魔法からは炎を創造できる『ジャジャン(炎)【Lv1】(2)』が使用可能だった。
……はい、どう見ても使えません。取るものミスったかぁ?
MPを確認すると『MP:24/31』となっていた。レベルの後の()内の数字が消費MPらしい。
既に割り切って、ここをゲームだと思っている僕はベットで寝ることにした。
では、おやすみなさい。
4度目に目覚めた僕はMPが満タンになっていることを確認すると、出入り口から外に出る。リセットされたのか、僕が足を踏み入れるまで真っ暗だった。
今回は前回の半分ほどで引き返す。前回の状況をゲームに当てはめると、敵の出現はランダムエンカウントなのだと思う。
2戦連続はキツいからな。
引き返し始めて10歩進んだかというところで正面に2体のコボルトが産み落とされる。
……あー、ゲームならこんなこともあるよね。
先手必勝と杖を右手のコボルトに向けて「ヴォム!」と唱える。
コボルトは炎球にぶつかると後ろに倒れ、起き上がろうとして事切れた。まさかの一撃か?
「ウヴォォォォッ!」
っと、ゆっくり観察している余裕はなかったっ!
もう一体のコボルトがこちらに向けてこん棒を振り下ろす。それを左手で受け、右手の杖を横薙ぎにぶつける。
こちらの方がダメージを喰らったが、これで終わりだ。
また振りかぶってきたコボルトに、それより早く胸元に杖の先端を向ける。意外に賢いのか、コボルトは振りかぶったまま動きが止まった。心なしかコボルトの目には恐怖が映っているように思えた。
僕は死にたくない。悪いが死んでくれ。
「ヴォム」
杖から放たれた炎球はそのままコボルトを弾き、その命を燃やした。
頭の中にメッセージが表示される。
『ココボルト達を倒した。Exp:6 獲得』
こいつらはコボルトではなくココボルトというらしかった。まぁ、どっちでもかまわないか。
思いの外疲れたため死骸はそのまま、HPは4しか減っていなかったがベットへと戻ることにした。
「はぁ……」
元からそうなのか、そういう風に変わってしまったのかわからないが、生き物を殺して何ともない自分はおかしいのではないだろうか。
そう思って思わず吐き出した溜息なのだと、言い訳した。
<おまけ>ダメージ計算式
物理攻撃 (総Atk+武技威力)*1.(該当スキルLv)*属性補正-総Def/2
魔法攻撃 (総Mat+魔法威力)*1.(該当スキルLv)*属性補正-総Mdf/2
小数点は四捨五入