ナンパ、ある男の出逢い。
美樹と私は毎晩の様に車でフラフラ出歩いた。
ナンパ去れに遊びに行ったら、ある男と出会ったのだ。
ナンパは去れたが、別に格好良くは全然無い。
スーツを着ていかにも仕事帰りに、ナンパしに来ましたというような出で立ち。その男の名は園部と言った。
私たちは、別に不細工が好きな訳ではない。
変にチャラ男にナンパ去れて、割り勘去れるより、少し不細工ぐらいがおごってくれると踏んだのだ。
これが、私達の人生を大きく変える別れ道だった事を私達はまだ予想もしていなかった。
園部ともう一人デブの男もいた。
ナンパ去れたその日に、園部のアパートに行き、遊んで帰ったのだ。
それからと言うものの何かと園部のアパートに行っては、いびりたっていた。
私達は、若かった。
園部も美樹と同い年だったし、私も二人の一個上。
恋に発展しなくても、楽しいお年頃。
ナンパで知り合って、深く信用が無くても、後先考えず遊びまくっていた。
私もバイトはしていたが、すっかり専門学校も辞めてうるさい両親を尻目に毎日バイトと園部のアパートの行き来であった。
私より、美樹の方がなかよかったに違いない。
だって、バイトに夜遊びに出掛けまくっていた私は、園部のアパートで先に寝てしまう事が多かった。
仲良かったからなのか、園部の罠に私達は近づいていた。
まさか……。と思うような事件が起きる。起きてからの私と美樹は転落の人生を送るのだ。
地べたを這いずり回る事になるとは、誰も予想していなかった。嫌。園部は予期してたのかもしれない。