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プロローグ
彼女は心から花のような人だった。
昨日まで降っていた雨は上がり、代わりに太陽の光が散々と降り注いだ日曜日の昼下がり。まるで彼女が微笑んでいるかのような天気だった。
「一年、か……」
あれから一年、僕はこの日を一度足りとも忘れたことはない。彼女と出会った日であり、彼女と離れたこの日を。最後まで聞けなかったことは沢山あった。
「陽樹、ちゃんと花は持った?」
「持ったよ母さん。じゃあ、行ってくる。」
僕は出発と準備を一通り終わらせ母親から渡された花の束を抱えて家を出た。
−【彼女】の花を−