魂の価値①
全六話です。
楽しんでもらえれば幸いです。
魂には重さがあると薫兄に教えて貰ったのは、忘れもしない小学三年生の夏の頃だった。
私の記憶が正しければ魂の重さは二十一グラムで、薫兄の実際に見て来たかのような喋り方に、私は少しだけ怯えながらも、必死になって話に耳を傾けていた。二つ年上の薫兄は親戚の叔父さんの影響でオカルトに対する造詣が深く、彼の語る叔父さんのお話は、絵本や漫画に出てくるような神秘で満ちていて、その単純な不可思議さと、薫兄の楽しそうな顔が私は大好きだった。
その時から、私には些細な疑問が有る。魂は何処から来るのだろうか? と。
いや、そもそも魂ってなんやねん! と言う話でもあるのだけれど。
天国から来るのだろうか? しかし天国は魂を回収する場所であり、出荷する場所ではない気がする。巡り巡って来るのだろうか? だとしたら、最初の魂とは何処から現れるのだろうか? うーん? 両親から半分ずつもらう? これも何だか釈然としない。そんな風に魂とはうつろう物なのだろうか? 私の知らない場所から来る?
うーん。わからない。私は魂が何なのかわからない。
そんな私が語るのは、もっと現実的な話であり、同時に非現実的な話でもある。
夢。寝ている時に見るあの夢だ。この夢も、実は結局のところ何もわかっていなかったりするらしい。レム睡眠でもノンレム睡眠でも見てしまうし、そのメカニズムも見る理由も詳しくわかっていない。それなのに、夢診断やら夢占いがあるとはどうにも面白い。
しかし薫兄の言葉を借りれば、科学が絶対なんていうルールは何処にもない。真実が一つである理由はないし、解釈が無限にあることを否定する道理もない。
だけど、もし可能であれば、私が十五年間見続けた夢の意味を、誰かに教えて欲しい。