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URBAN LEGEND  作者: 安藤ナツ
Case3.

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13/32

魔王①

全6話。


お楽しみ頂ければ、幸いです。

 スワンプマンと呼ばれる、哲学の思考実験がある。どうやら結構有名なようで、俺にそのことを教えてくれた棚町薫先輩は「知っていると思うけど」なんて前置きしていた。


 しかし知らない人は自分の無知を恥じることはない。決して、無知は恥ではないのだ。学習し、それを生かせるかどうかが大切なのだ。俺だって、あの似合わないサングラスをかけている先輩に説明されるまで、そんな実験はまったく知らなかった。


 スワンプマンの話は、男が沼に落ちて死ぬところから始まる。自殺しようとしたのか、通勤の途中だったのか、それはまあ自由に考えて良いだろう。大切なのはこの後、沼に雷が落ちることだ。その雷によって、沼は有り得ない科学変化を起こし、男の身体をバラバラに分解してしまう。そして、それが再構築される。男の身体は沼の中で新たに創られ、分子単位でまったく同一の男が出来上がる。しかも更なる奇跡が起こり、男の心臓は再び動きだし、沼から自力で這い出てしまうのだ。知識も記憶も全て受け継いだ男は、沼に落ちて死ぬ前と一切何も変わらない存在となっているらしい。


 そう言う存在のことを、スワンプマン――沼男――と呼ぶのだ。


 この実験はスワンプマンの存在を考え、自分とは何か、記憶と経験とはいかなる物かを考えるものらしい。一体、あの先輩が何を考えて俺にそんな話をしたかはわからない。恐らく、もう知る由もないだろう。そもそも、俺は知りたくもない。同じ学校の先輩であるくらいしか接点がない棚町薫は全体何を考えていたのだろうか?


 いや、先輩の話は置いておこう。ハッキリ言って、どうでもいいし、関係ない。話せるほどに詳しくもない。


 俺がこの話を真っ先に聞いた時に思ったことは、『もしスワンプマンを見抜ける人がいたら?』と言う物だった。もし、全く同じ顔をして、全く同じ記憶を持ち、全く同じ性格の、同類項でも相似でもない、合同の存在を、全く別の存在だと気が付いてしまった人間は何を思うのだろうか?


 きっとそれは、酷く醜く映るんじゃあないだろうか? 俺はそう思う。


 否、『思った』だ。


 何の因果か、今世紀最大の殺人犯となってしまった俺の話を聞きたいと言う人間は沢山いるだろう。


 そして俺の話を聞いた後にもう一度考えて欲しい。


 スワンプマンとは何者なのか、を。


 俺にとってそいつは、邪悪だった。

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