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プロローグ
私たち日本人の大半は、特定の宗教を信仰していない。結婚式を挙げるのは教会で、死後に入るのは寺の墓、なんてことはざらにある。
私たちが信仰しているのは、科学だ。神様なんて不確かなものじゃない。自分たちの目で確認できる。
そして、どこまでも追い求めることができる。何人もの人が研究を繰り返し、繰り返し、繰り返す。そして、毎日少しずつながらも、新しく地球を、進歩させる。
私たちは、自分たちで歩むことを決めたのだ。この世界を、地球を、進歩させることを決めたのだ。
これは、そんな「世界の進歩」を夢見た、バカで、難しくて、苦しくて。でも、かっこよくて、面白くて、すごく「楽しい」、とある少年少女の物語。