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道の向こう  作者: 高田昇
第一部 黎明
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序章

更新は月に1,2回のペースで行きたいのですが、話を進めるにあたり様々な資料を読みあさったり他の作品も仕上げたりして行かねばいけないので更新のペースが遅れる恐れがありますが御了承ください。

内地

 私が意識を戻した時には、病室のベッドの上だった。


 そして、戦争が終わっていた。我が皇軍の、大日本帝国の勝利だった。


 私は軍人として、一人の日本人としてこの勝利に喜んだ。


 しかし、心中に一つの不安が過る。確かに日本は戦争に勝った事でアジアの覇権国となって行く事になるだろう。問題はその後がどうなるかだ。


 数十年の昔アメリカ合衆国と同盟を締結し、今度の戦争で共通の敵と共に戦った事で戦争に勝った。


 『共通の敵』がいなくなればどうなる?国家というものは、他の国家を『敵』として見なければいけない。国家間の同盟は『敵の敵は味方』なのだ。


 それに、日本はこれからどうなって行く?アジアの覇権国となったが、これまで通りアジア諸外国と対等に付き合って行くのだろうか?


 敵国だった国とはどうなる?敵国が我が国や同胞に齎した戦争の傷痕は、私や日本人は決して許しはしないだろう。


 だからと言って、これからは我々が彼等を蔑んだり蛮行を行って良いかと言えばそうではない。


 源平の時代、源氏を破った平氏は『平氏で無いものは人にあらず』と謳い、平氏第一主義と思わせる悪政を行っていったため人々から恨まれ、最期には壇ノ浦の合戦において悲運な末路をたどる因果応報の話は誰もが知っている。


 私は、日本が平家の様になるのではないかと心配でならない。




 今にして思えば、この戦争は私の曾祖父が明治の時代に残していった呪いとも言うべき執念から起こったと考えてしまう。


 歴史の資料から曾祖父の過去を辿ると、日清戦争の頃から大陸への進出をこだわり続けていた事が窺える。しかし、曾祖父の夢は終生叶わなかった。だが、日本が歩んできたその後の歴史は曾祖父の描いた夢にすこしずつ近付いっていった。そして今度の戦争へと繋がり、大勢の人間を死なせと思えばただ恐怖を感じてしまう。


 そして、曾祖父の夢は今まさに、出発地点にたどり着いたばかりだ。


 遠い道の先に何が在るかは分からない様に日本はこれからどの様に歩んで行くのかは分からない。


 

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