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逆さの月の恋  作者: Nesn


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第八話〜夏目side〜

無理だよ


好きにならないなんて…


だって、今もほら…こんなにドキドキしてる


____________________


家に帰宅すると、すぐに先輩が本当にこの部屋に来た痕跡が残っていないか探し回った。

だが、残念なことに何一つそんな痕跡はない。


夏目「なぁ、朔先輩は現実にここに来たの?どうしてアキの名前知ってたのか俺に教えてくれよ?」


飼い猫に半ば本気で問いかけてみる。


夏目「なーんて、アキが教えてくれるわけないよな…」


アキはスタスタと太々しくスマホを踏みつけ、その場を歩き去った。


夏目「あ、アキ。人のスマホを踏んじゃだめだろー?もう……え?」


画面には見覚えのない先輩からの着信履歴。


夏目「え…これ、いつ…え?え?」


やっぱりあれは夢じゃなかった。


俺は居ても立ってもいられず、着信履歴から先輩に電話を掛けた。




”trrrrr…trrrrr…”


”trrrrr…trrrrr…”


”trrrrr…trrrrr…”




”プッ…”




朔『はい…』


夏目「朔先輩!」


朔『んだよ、お前かよ』


夏目「あれ?俺の番号、登録してないんですか?」


朔『する必要性を感じたことないからな』


夏目「う…」


いつものツンツンバージョンの先輩だ。


夏目「体調はどうですか?」


朔『まぁ…ぼちぼち』


夏目「それは良かったです。ご飯は食べましたか?」


朔『お前は俺のばあちゃんか』


夏目「違いますけど…」


朔『で、何?何も用がないなら切るぞ』


夏目「駄目!あります!ちゃんと用事!」


朔『なんだよ?』


夏目「えっと……あの、朔先輩、昨日俺の家に来ましたよね?」


朔『…行ったけど』


夏目「やっぱり!そうですよね?夢じゃないですよね?」


朔『夢?あー、お前熱で意識朦朧としてたもんな』


夏目「はい。だから夢かと思って…俺が先輩を好きすぎて、都合のいい夢を見たのかと」


朔『…よくもまぁ、恥ずかしげもなくそんなに好き好き言えるな』


夏目「だって、好きですから…」


朔『そりゃ、どーも。もう、いいか?』


夏目「駄目です!もう一つ聞きたいことがあるんです」


朔『なに?』


夏目「先輩が風邪を引いたのって、俺とキスしたからですか?」


心臓が激しく脈打つ。


朔『…は?何言ってんだお前』


夏目「え?俺たち、キスしましたよね?」


朔『それ、夢じゃね?』


夏目「夢?そこだけは夢なんですか?!」


朔『寝言は寝て言えよな。んじゃ、切るぞ』


夏目「待っ…」


”プツン”


先輩は家に来たのは現実。


でも、あのキスは夢だった。


夏目「そうだよな…先輩が男の俺とキスなんかするはずないもん…」


天国から地獄に突き落とされた気分だった。



____________________



翌日の会社。


ありさ「はいはい、みなさーん!今日は何の日か覚えてますかー?」


夏目「え、何の日?」


ありさ「柏木さんの歓迎会よ!今日は他部署と合同です!」


夏目「え、そうなんですか…」


朔「だる…俺パス」


ありさ「言うと思ってたわ。でも、石川君も今日はキャンセル不可でございます」


朔「は?」


ありさ「社長直々の招集なので」


朔「…まじかよ」


夏目「先輩、ご愁傷様です」


ありさ「柏木さん、社長直々に歓迎会を開いてもらえるなんて、相当期待されてるんですね」


夏目「すごいですね」


ありさ「柏木さんって優良物件の香りがプンプンするー!婚約者さんは安泰だわ」


朔「まじ、興味ねぇ」


ありさ「石川君て、顔が良くなかったら本当にただのクズよね」


朔「神に感謝しとくわ」


ありさ「夏目君、こんな人のどこにリスペクト感じたの?」


夏目「先輩は沢山いいところありますけど、詳しい詳細は俺だけの秘密です」


ありさ「クズホストにいいカモにされてる太客にしか見えないわね」


夏目「そ、そんな事ないですよ!!」



____________________



歓迎会会場。



女性社員たちが朔先輩に群がっている。


ありさ「でた。石川ホイホイ」


夏目「な、なんですかそれ?」


課長「石川君がこういう場に参加すると女性陣がゴキのように群がるからねー」


ありさ「まぁ、恒例行事みたいなものね」


夏目「恒例行事…」


夏目(見たくないけど…見ちゃうな)


自分で気分がどんどん沈んでいくのが分かる。


ありさ「課長、柏木さんのところいきましょ!」


課長「そうだね!夏目君もどうだい?」


夏目「あ、俺はもう少しここで先輩の事待ってみます」


会場に到着してから、取り巻きが邪魔で朔先輩と一言も話せていなかった。


ありさ「健気ー♡んじゃ、私達は行ってくるね」


夏目「はい」


(先輩…早く体、空かないかな…)


ベタベタと先輩の体に触る女性達を恨めしげに見つめる。


(俺も女だったら、あんな風に先輩に触れられるのに…)


すると、見知らぬ男性社員が俺の横に座った。


”ドカッ”

(乱暴に座る音)


男性社員「お前、石川と同じ部署だろ?」


夏目「そうですが…」


男性社員「あいつ、女性職員を食い物にしてるらしいぞ」


(先輩のこと何も知らないくせに…)


相手をよく知りもしないで、好き勝手にモノを言う人は嫌いだ。


夏目「モテるだけだと思いますよ。先輩から迫ってる姿は見たことないですし」


男性社員「気に食わねぇ野郎だよな」


夏目「俺はモテない男の僻みに聞こえますけど」


男性社員「あ?なんだと?」


夏目「先輩の事、よく知りもしないくせに悪く言うのはやめて下さい!」


ついカッとなってしまう。


男性社員「なんだ?お前。随分とあいつの肩を持つんだな?男のくせに…

もしかして、お前、あいつに惚れてんのか?」


夏目「え…」


男性社員「うわっ、まじかよ。ホモじゃん!きっしょ!本物初めて見たぜ」


夏目「違っ…」


(駄目だ。ここで騒いだら先輩に迷惑が掛かる)


男性社員「おい、ホモ野郎。お前もあいつとヤリたいのか?まさか、あいつもホモ…」


夏目「違う!先輩は俺とは違う!!」


思わず大きな声がでた。


ざわざわと周囲がざわつき始める。


男性社員「あーぁ、デカい声だすから周りが騒ぎ始めたじゃねぇか?」


女性社員C「どうしたのー?」


男性社員「こいつ、ホモなんだよ。石川のことが好きなんだってさ」


女性社員D「えー、やば」


男性社員「やべーよな?気持ち悪いだろ?」


女性社員D「確かに気持ち悪いかもー」


(泣くな…俺…泣くんじゃない…)





























朔「んじゃ…俺のことも気持ち悪いかもな?」


直ぐ後ろから聞こえてくる先輩の声。


男性社員「石川っ!」


夏目「先輩…」


朔「だって、俺…男でも全然抵抗無く抱けるし?」


”きゃー!”


女性社員達の黄色い声援が飛び交う。


夏目「先輩…?」


朔「あー、でも、あんたみたいな汚え顔の男は金払われても抱けないけどな」


男性社員「…っく!」


女性社員C「ぷっははは!朔くん、最高♡」


女性社員D「うけるー!」


男性社員「なんだよ、お前ら!さっきまで一緒に気持ち悪いって言ってたくせに」



その時だった。


柏木「同性愛者が気持ち悪いなら、僕とも仲良くできませんね」


男性社員「か、柏木さん!?」


柏木「だって、僕の婚約者は男性なので」


夏目「えっ?!」


朔「…へぇ」


今日(イチ)のざわつきが辺りを包み込んだ。


男性社員「…くそっ!」


男性社員は居た堪れず、その場から逃げるように走り去り…


柏木「さてと、皆さん。お酒も回り過ぎてきたようですし、そろそろ解散にしましょうか!

………後は僕に任せて(小声)」


柏木さんは直ぐに騒ぎの鎮火をはかってくれた。



____________________



帰宅路__



朔「おい、大丈夫か?」


夏目「…はい」


朔「あんな奴の挑発に乗ってんなよ」


夏目「だって、あの人先輩のこと何にも知らないくせに…」


朔「顔を上げろ」


夏目「な、殴るんですか?」


朔「ばーか」


恐る恐る顔を上げると、先輩が頭をポンポンと撫でた。


朔「ありがとな」


夏目「先輩…」


溢れる想いを抑えらそうにない。


夏目「俺、先輩が好き…」


朔「知ってる」


夏目「先輩が思ってる以上に好きです」


朔「はいはい」


夏目「本当ですよ」


朔「わかったって」


夏目「先輩のためなら、どんな相手とでも戦えます」


朔「いや、戦わなくていいから」


夏目「じゃあ、どこまでも行けます」


朔「地球外まで行きそうな勢いだな」


夏目「はい!あと…」


朔「お前、うるさい」


”クイッ”


引き寄せられる顎


”チュッ”


先輩の唇が触れた。
















夏目「………え?」


朔「さてと、帰るか」


夏目「今…先輩…何を…」


朔「さぁな?」


夏目「夢?まさか、これも夢なんじゃ?」


朔「キスする度に夢にすんなよ」


夏目「え…それじゃあ…」


朔「行くぞ、忠犬」


2度目のキスは夢なんかじゃなかった。

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