第十二話
後戻りできない。
だから、もう俺を縛らないでくれ
あんたという鎖で…
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自分の部屋__
シャワーを浴びた夏目が部屋に戻ってくる。
朔「こっち」
俺はすぐに夏目をベッドの上に呼び寄せた。
少し遠慮がちに近づいてくる夏目がもどかしくて、腕を引き寄せる。
”バフンッ”
(夏目がベッドの上に倒れる音)
ベッドの上に横たわる夏目。
夏目「朔…先輩…」
朔「…抱くよ」
夏目「…は…はい…」
初体験の夏目になるべく負荷がかからないよう、出来る限り優しく触れる。
夏目「ん…」
朔「…声、我慢しなくていい」
夏目「…は…は…ぃ…んぁ…っ」
俺はその日、夏目を抱いた。
あの人以外で男を抱いたのは初めてだった。
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行為後__
夏目「先輩…俺…フワフワします」
朔「痛みは?」
夏目「想像してたより全然…先輩が上手だったから…///」
朔「ご満足させられたようでなによりです」
夏目「も、もう、からかわないでくださいー///」
朔「笑」
夏目「あ、何か飲み物もらっていいですか?喉乾いちゃって…」
朔「あー、冷蔵庫から好きなの適当に取って」
夏目「はい」
夏目は浮き足で冷蔵庫の方へと歩いていく。
夏目「そういえば、先輩って…どうして誰も家に入れなかったんですか?」
朔「あー、それ聞く?」
夏目「え、駄目でした?」
朔「いや、別にいいけど」
少し不安そうに俺を見つめる夏目。
朔「俺が家に入れるって相手って事は、それなりに俺が好意ある相手って事だろ?」
夏目「そうなりますね」
朔「そんな奴を家に入れたら、帰したくなるじゃん。
だからだよ」
夏目「え…なんか、想像してたのと違う」
朔「へぇ?どんな想像してたんだ?」
夏目「なんていうか、俺の城だから!部外者は立ち入り禁止!的な?」
朔「まぁ、それも少しはあるけどな」
夏目「実は朔先輩が甘えん坊なのがわかって嬉しいです」
朔「急に上から口調になったな?」
夏目「えへへ、冷蔵庫の水頂きます。…あれ、懐かしい〜!瓶ラムネだ!でも、これ…中身入ってないですよ?」
朔「…あぁ、いーんだ」
夏目「捨てておきましょうか?」
そう言って夏目が瓶を取り出した。
朔「やめろっ!」
咄嗟にでかい声が出る。
その声に驚く夏目。
朔「悪い、そのままにしててくれ。中に入ってるビー玉が欲しくてさ」
夏目「あ、そうなんですね」
(なにやってんだ。俺…)
夏目「わかります。その気持ち。俺も小さい頃よく、このビー玉欲しくておねだりしてました」
朔「取れたか?」
夏目「はい。婆ちゃんが割って取ってくれました」
朔「だよな。割らないと普通は取れないよな」
夏目「割らずに取れる方法あるんですか?」
朔「あるらしいんだけど、まだわかんねぇんだ。だから、置いておいて。自分で捨てるから」
夏目「……はい」
朔「そう言えば…アキのこと平気か?一度家に帰る?」
夏目「いえ、実はもうお姉ちゃんにアキの事頼んでおきました」
朔「へぇ、姉ちゃんいるんだ?」
夏目「2人います。俺は末っ子で、めちゃくちゃ可愛がられて育ちました」
朔「すげー想像つくわ。笑」
夏目「先輩…その、どうでした?」
朔「なにが?」
夏目「俺…その、俺は良かったんですけど…先輩は…その…」
朔「ちゃんと、俺も気持ち良かった」
そう伝えると夏目は嬉しそうに笑った。
朔「良かったわ。お前に姉ちゃんがいて」
夏目「どうしてですか?」
朔「アキを面倒みてくれるからな…俺、今凄くお前を帰したくない…」
夏目「先輩…」
甘いキスをする。
俺が出来るだけの甘いキスを
まるで自分の罪を隠すように…
夏目「先輩……俺…んっ…」
その日、俺はもう一度無我夢中で夏目を抱いた。
***
(回想の中•眠ってるあの人を見つめる自分)
朔「ねぇ…俺のものになってよ…」
***
あの人の残像が、まだ俺の中にあることを否定したくて…
朔「…好きだ…遥…」
(なんで、捨てられないんだよ…くそ…)




