軍事拠点
興童が生まれてこのかた住んでいたという豪華な屋敷から車で1時間。
助手席のおれは、前方に見える豪奢な城のような建物に目を輝かせた。
「大きな城!?もしかして、あれが…」
「そうだ。魔術士分隊の拠点だ」
敷地内に入る前に、王導が駆け寄ってきた軍人と少し話をすると、顔パスで通ったのかそのまま駐車を始める。
ちなみに、王導の運転はとても荒かった。急ブレーキと急加速の連続だった。
顔色を悪くしながら王導と共に車から出ると、何かを唱えると同時に軍人の服がゆったりとした術師風のローブに変わる。
「お待ちしておりました、王導様、そしてご子息の興童様。城の2階にて隊長がお待ちです」
豪奢な見た目に違わず、宮殿風の造りをした城…拠点の階段を登っていくと、2階には大きな扉があった。
王導は軍人を手で制すると、そのままインターホンのような機械の前で、指に力を込める。
「はぁっ!」
すると、王導の魔法で出てくるはずの水が、霞となって機械に吸い込まれていった。
「これは…どういうこと?」
「お偉方の住む御所で使われる魔法認証だ。魔法は側から見れば同じに見えても、実際は一人一人少しずつ違う。その魔法の"くせ"のようなものを、登録した者と一致するかどうか読み取る認証装置だ。もちろん、インターホンの機能もある」
元いた世界でいう指紋認証のようなものか。
魔法は機械にも影響を及ぼすんだなと感心していると、重厚な扉が音を立てて開いた。
ギィ…という音を最後に扉の動きが停止すると、中で人影が手招きしているのが見えた。
「久しぶりだね王導くん。そちらはご子息の…会うのは初めてだ、よろしくね、興童くん」




