水属性
王導が放出した水の量に目を輝かせると、彼もその視線に気付いたようだった。
「なんだ、お前の指先からは水は出ないぞ?」
「出ないんですか」
「ああ」
王導はそう言って、自分の指先をこちらに向ける。
「魔法は三属性あって、血液型のように使える魔法の種類は生まれつき決まっている。お前のような例外もいるが、それはそれとして。三属性は、炎、水、芽の3つからなる。炎は水に弱く、水は芽に弱く、芽は炎に弱い。つまり、三すくみというやつだ」
「じゃあおれは水使いには勝てないんですね?」
「いや、そういうわけじゃない。それは後々魔術についての説明で解説するとして、まあお前の属性は炎だと覚えてくれればいい」
炎の魔法。不思議なものだ。生前のおれじゃあ、一生できなかったことである。
王導の説明に頷くと、彼はまた説明を続ける。
「次は魔法と魔術の違いについてだ。魔法は皆が使えるが、魔術はそうではない。子供は、6歳になると魔術学校で魔法の効率のいい使い方を学ぶ。これが魔術の基礎だ。六年間通った子供は、魔術試験を受ける。」
「魔術試験?」
「魔法を魔術に発展させられるかどうかの試験だ。人によっては魔法が苦手な者もいる。そのような者は、魔術試験に落ちると、魔術を使わずともできる仕事に就くための専門学校に行く。魔術試験に受かった者は、魔術大学校にグレードアップする。」
「厳しい世の中ですね。魔術大学校っていうのは、魔術学校と何が違うんですか?」
「選ばれた者しか行けない学校ゆえに、教える内容がいくつも段階を飛ばして難化する。魔術学校とは違い4年制の学校だが、こちらも魔術試験がある。」
「試験ばかりで嫌になるなぁ…」
「まあそう言うな。ここで魔術試験に落ちた者は、中程度の魔術を使う仕事に就く。例えば、大学校ではない方の魔術学校の教師などがそうだ。」
「じゃあ、受かった人は?」
「晴れて魔術士になる。魔術士は皆の憧れだ、魔術を使って危険因子を倒す、国直属の兵隊になれる」
その言葉を聞いて、ふと疑問が浮かんだ。
「戦いたくないのに魔術士になってしまった人は、どうするんですか?」
王導が目を丸くして、考える仕草を見せた。
「…考えたこともなかったな。よし、ならば文句を言いに行くか!」
今度はおれが目を丸くする番だった。
「行くってどこにですか…?」
「オールト共和国直属軍魔術士分隊。その拠点地に行くんだ」
王導はおれを安心させるように、微笑んでみせた。
「聞くより見た方が早いだろう。さあ、ついてきなさい」




