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主人との対面
使用人が呼んできたご主人様というのは、およそ2分足らずでおれの元へやってきた。
男性、それも40代くらいだろうか。深い黒の瞳、そして目元にはしわが刻まれている。
疲れた顔をしている割にはとにかく筋肉があって、肩幅なんておれの2倍くらいある。
「興童。記憶を失ったそうだね。慈舞から聞いたよ」
慈舞とはあの使用人のことか。
ここで隠すこともないだろうと、ある一点を除いて真実を話した。
「はい。記憶を失ってしまい、自分がどのような立場に置かれている人間なのかもわかりません。もちろん、あなたのことも。一から教えていただけますか?」
男は微笑むと、慈舞の方を向いた。
「お前は外を見張っていなさい。私は興童と二人で話がしたいのだ」
慈舞は慌てて箒を取ると、外へ駆け出していった。




