8/22
王都への道、深まる絆
セドリックは、自らの名を「エド」と名乗り、結衣を王都へと誘った。森の中を二人で歩き始めるが、セドリックはまだ本調子ではない。結衣は、時折彼の肩を支え、休憩を促した。
「エドさん、無理しないで。まだ顔色が悪いですよ」
「大丈夫だ。君のおかげで、もうほとんど痛みはない」
セドリックはそう答えるが、その足取りは重い。結衣は、少しでも彼を楽にしようと、彼の手を握り、そっと魔力を流し込んだ。温かい光が彼の手を包み込む。セドリックは驚いたように結衣を見つめた。
「これは……」
「えっと、ほんの少しだけ、体を癒すことができるみたいで……」
結衣がはにかみながらそう言うと、セドリックは優しく微笑んだ。
「君は、本当に不思議な力を持っているんだな。感謝する」
道中、二人は様々な話をした。セドリックは、王都の暮らしや文化、この世界の成り立ちについて結衣に教えた。結衣は、日本のこと、家族のこと、そして普通の女子高生だった自分の日常を彼に話した。故郷を懐かしむ結衣の瞳に、セドリックはなんとも言えない切なさを感じた。彼は、彼女を孤独から救いたいと強く願った。