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第五話 「千夏の誘いと和風の豪邸」

放課後の校門前。


 ヤンキーたちとの騒動が一段落し、俺は深いため息をついていた。


「いやー、助かったぜ、龍ケ崎!」


 千夏は笑いながら俺の背中を勢いよく叩く。


「……お前、加減しろよ。普通に痛いんだが」


「ははっ、悪ぃ悪ぃ!」


 豪快に笑う千夏を見ていると、先ほどまでの緊張感が嘘のように思えてくる。


「なぁ、龍ケ崎。今からうち来ねぇか?」


 不意に千夏がそう切り出した。


「え? お前の家?」


「ああ。夕飯、お前も食ってけよ。助けてもらったお礼だ」


 夕飯の誘い。


 普通なら喜ぶべき申し出かもしれないが、俺の脳裏には『ヤクザ』という単語がよぎる。


「……お前の家って、どんな感じなんだ?」


「んー? まぁ、昔はちょっとアレだったけどよ、今は普通に不動産業やってる堅気の家だぜ?」


 千夏は気にする様子もなくあっさりと言う。


「でもまぁ、家自体は昔のまんまだから、ちょっと驚くかもな」


 その言葉に、俺の警戒心が少しだけ緩む。


(まぁ、行くだけ行ってみるか……)


 こうして俺は、千夏の家へ向かうことになった。


 千夏の家へと続く道は、思いのほか閑静な住宅街の一角にあった。


「お前の家、この辺なのか?」


「おう。まぁ、着けばわかるさ」


 千夏は自信満々に言う。


 そして数分後——


「ここだ」


 彼女が指さした先にあったのは、門構えの立派な和風の豪邸だった。


 高い塀に囲まれた敷地。


 分厚い木製の門には立派な家紋が刻まれており、門の奥には広い庭が見えた。


「……すげぇな」


「ははっ、だろ? まぁ、見た目はちょっと古臭いけどな」


 千夏は悪びれた様子もなく笑う。


 しかし、俺は門を前にして、なんとも言えない圧を感じていた。


 ただの住宅とは思えない、堂々たる風格。


 それもそのはず、この家は元々ヤクザの本拠地だったのだから。


「ほら、入れよ」


 千夏が門の前に立ち、インターホンを押す。


 ——カチリ。


 わずかな沈黙の後、門がゆっくりと開いた。


 その先には、純和風の見事な屋敷が広がっていた。


(……なんか、色々すごそうだな)


 俺は軽く息を整えながら、一歩踏み出した。


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