第34話:包囲網の強化
相馬財閥の不正を暴くため、警察庁の全面協力を取り付けた弘彌。しかし、相馬側もただ手をこまねいているわけではなかった——。
弘彌は朧とともに作戦を練るべく、ホテルの一室で情報を整理していた。
「警察が動くとなれば、相馬も当然それを察知するでしょう。」
朧が冷静に状況を分析する。
「だからこそ、警察だけじゃなく、こっちの人脈もフル活用する必要がある。」
弘彌はスマートフォンを取り出し、信頼できる企業経営者や政治家にも連絡を取る準備を始めた。
その矢先——。
「殿下、大変です。」
突然、朧が鋭い声で言った。
「どうした?」
弘彌は眉をひそめる。
「相馬財閥が公安の監視を察知し、逆に警察内部に圧力をかけて動きを封じようとしています。」
「なんだと?」
「すでに一部の政治家が相馬側につき、警察庁に対して“圧力をかけるな”と働きかけています。」
「……やはり、そう簡単にはいかないか。」
弘彌は苦笑しながらも、次の一手を考え始めた。
だが、その時——。
ピンポーン
部屋のチャイムが鳴る。
朧が警戒しながらモニターを確認すると、そこには意外な人物が立っていた。
「……刑事局長?」
浅見刑事局長が険しい顔をして立っていた。
「殿下、至急お話ししたいことがあります。」
彼が持ってきたのは、警察庁に対する圧力の詳細なリストだった。そこには相馬財閥と繋がる政治家や官僚の名前が記されていた。
「つまり、このリストに載っている連中が邪魔をしているわけか。」
弘彌はリストをじっと見つめる。
「その通りです。」
浅見は真剣な顔で頷いた。
弘彌はニヤリと笑った。
「なら、こっちも“強い手”を打つとしよう。」
彼の目には、確固たる決意が宿っていた——。




