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第30話:新たなる戦場

 相馬財閥の崩壊によって、弘彌の手のひらで戦局は大きく動いた。しかし、彼はその勝利に一瞬の安堵も感じていなかった。目の前に広がるのは、確かに一つの勝利に過ぎない。しかし、彼の心の中では、これからの戦いがより激しく、困難になることを十分に予感していた。


 相馬財閥を潰すことができた。しかし、それはあくまで第一段階に過ぎない。そして、ここからが本番だった。


「相馬財閥の後ろには、まだ他の勢力が控えている。」弘彌は思考を巡らせながら、静に言った。「彼らは相馬財閥の壊滅をきっかけに、我々に対して本格的な反攻を仕掛けてくるだろう。」


 静はしばらく黙って考え込み、そして重い口を開いた。「あなたの言う通りよ。相馬の崩壊は、ただの前哨戦に過ぎないわ。背後にいる本当の黒幕が動き出せば、さらに大きな戦争が始まる。」


 その言葉に、弘彌は静かに頷いた。「それでも、我々は先手を打ち続けなければならない。」


 彼の言葉に、静は力強く答える。「もちろん。私も、あなたのために何でもする。」


「ありがたい。」弘彌は微笑み、彼女の手を一瞬握った。


 その時、朧からの連絡が入る。電話越しの彼女の声は冷静だったが、どこか焦りも感じられた。「弘彌様、状況が変わりました。相馬財閥の後ろにいる勢力が、予想以上に手強いです。」


「具体的には?」弘彌は即座に反応した。


「彼らは、我々が手を出していることに気づき、裏で動いているようです。彼らの力を封じ込めるには、まだ時間が必要です。」


「時間が足りないか。」弘彌は再び考え込んだ。しかし、彼はすぐに立ち上がり、冷静さを保ちながら指示を出した。「その間に、我々が先手を打ち続ける必要がある。」


 数日後、弘彌と静は、相馬財閥崩壊後の隙間を突くため、金融機関や企業の株式市場で密かに動いていた。相馬財閥の壊滅は、多くの企業に波及し、混乱を招いた。だが、その混乱を利用するのが、弘彌の戦略だった。


「今の市場を狙えば、静の企業にも大きな影響を与えることができる。」弘彌は、目の前に広がる株式の動きに目を光らせながら言った。「ここで先手を取ることができれば、我々の基盤を強化することができる。」


「分かったわ。」静は強い目で弘彌を見つめる。「私の会社は、この機会を最大限に活用する。」


 その言葉を聞いて、弘彌は深く頷いた。「君がいれば、何も恐れることはない。」


 同時に、相馬財閥の崩壊を受け、彼らの背後にいた真の黒幕たちが動き出していた。裏社会の力を使って、弘彌に対抗するための計画が進行していた。


「弘彌を倒さなければ、我々の存在も危うい。」黒幕たちのリーダーは、冷徹に言った。「相馬財閥の崩壊を利用して、弘彌を取り込むか、排除するしかない。」


 その計画の中で、彼らは最も信頼できる手駒を送り込むことを決定する。裏社会に深い関わりを持つ、非常に危険な存在が送り込まれた。


 弘彌はその間、金融市場と企業の買収戦略を緻密に進めていった。だが、彼の周りで起きている状況を完全に把握していたわけではなかった。相馬財閥崩壊後に隠れていた勢力が、静かに動き始めていたのだ。


「何か動きがあった?」弘彌は、朧に再度連絡を取った。


「はい、弘彌様。背後にいる勢力が、何かしらの策を講じているようです。」朧の声には、若干の焦燥感が滲んでいた。「その勢力は非常に巧妙で、手に負えない力を持っています。最悪の事態に備える必要があります。」


 弘彌はその言葉を冷静に受け止め、しばらく黙って考えた後、決断を下した。「ならば、こちらも新たな戦略を準備するしかない。」


 彼は静に向かって言った。「静、今すぐに君の企業に関連する企業との連携を強化してくれ。相手の動きに備えるために、こちらの影響力をさらに拡大する必要がある。」


「分かったわ。」静は即答し、行動に移した。


 その頃、相馬財閥の背後にいる黒幕たちは、次なる手を打つために動き出していた。弘彌が次に進むべき道を見極め、彼の周囲はさらに緊張感を増していった。

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