第二十三話:銀行への一手
翌朝、弘彌は早速動き出した。ターゲットは相馬財閥が主な融資先として依存している三つの金融機関。そのうち、最も資金提供が大きい『帝都銀行』に目をつける。
「帝都銀行の動向を探る。もし相馬財閥の信用が落ちれば、向こうも貸し渋る可能性があるからな」
「具体的にはどうするの?」千夏が尋ねる。
「まずは内部の情報を掴む。幸い、俺たちには手がある」
弘彌はスマホを操作し、ある人物に連絡を取った。
『お久しぶりです、理事長。少しご相談があるのですが』
理事長——弘彌の後ろ盾である大物の一人。彼は金融業界にも影響力を持っており、帝都銀行の幹部とも深い関係がある。
『ほう、相馬財閥の動向を探りたいと? なるほど、確かに最近、彼らの信用格付けが微妙になってきているな……』
理事長は快く協力を約束し、弘彌に重要な情報を提供する。
「どうやら、帝都銀行内部でも相馬財閥への貸し出しを見直す動きがあるらしいな」
「それなら、こっちから後押ししてやればいいんじゃない?」千夏が意地悪く笑う。
「その通りだ」
弘彌は笑みを浮かべた。
「俺たちが手を引いたら、相馬財閥はどうなるか……楽しみだな」
彼らの攻勢が、本格化していく——。




