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第十五話: 決断と反撃

翌日、俺は決断を下す。生徒会から手に入れた情報を暴露するか、それとも生徒会と協力して自分の立場を守るか。その間で揺れ動いていた心は、千夏に会ったことで一気に固まった。


朝、教室に着くと、千夏がやはりいつも通りの笑顔で俺に声をかけてきた。


「おはよう、弘彌」


「おはよう、千夏」


彼女の顔を見て、俺は少しだけ安堵する気持ちを覚えた。だが、それと同時に決めたこともあった。


「今日は帰りに少し、話がある」


「ん? 何かあったの?」


千夏が不安そうに眉をひそめた。


「いや、ただ、俺が決めたことを話すだけだ」


「決めたこと?」


「生徒会のことだよ」


千夏は少し考えてから、しばらく黙った。やがて、静かに言った。


「分かった、話そう。昼休みにでも」


その約束を交わした後、俺は昼休みを待った。俺があの決断を下した理由。それを千夏に伝えた後、どうなるのか。それが心配だった。


昼休み、俺と千夏は学校の中庭で待ち合わせた。俺が遅れずに来ると、千夏はすでに座って待っていた。


「来たか、弘彌」


「うん、待たせて悪い」


俺はゆっくりと千夏の隣に座ると、しばらく黙っていた。


「で、決めたことって?」


千夏が首をかしげて、じっと俺を見つめてくる。


「俺、あの生徒会長に言われたこと、聞き流せなかった」


「うん?」


「やっぱり、俺の中で何かが引っかかっている。生徒会の問題を解決するっていうのは一つの手だと思ったけど……もっと違う方法があるんじゃないかって」


千夏が少しだけ身を乗り出した。


「違う方法?」


「うん。俺が知っている範囲じゃ、どうしても生徒会の権力の大きさに気を取られてた。でも、それが本当に解決策なのか?」


「そうだね」


千夏はゆっくりと頷きながらも、俺をじっと見つめている。


「じゃあ、どうするつもり?」


俺は深呼吸してから、静かに告げた。


「生徒会の問題を暴露するつもりだ。だが、その方法には少し工夫がいる。俺の力を使って、情報を少しずつ明らかにしていくつもりだ」


「え?」


千夏は驚いたように目を見開いたが、すぐに冷静さを取り戻した。


「でも、それって……危険じゃない?」


「もちろん。だけど、俺があの会長に言ったことを覚えているか?」


「うん。『君が選択することが大事だ』って言ってたね」


「そうだ。だから、俺はその言葉を信じる。俺が選んだ道が、どんな結果をもたらすにしても、後悔しないように進む」


千夏は黙って俺の言葉を受け止めていた。そして、少し間を置いてから、静かに言った。


「分かった。でも、もし何か問題が起きたら、私も協力するから」


「ありがとな、千夏」


その言葉を聞いた瞬間、俺は少しだけ安心した気がした。


その日の放課後、俺は再び生徒会室へ向かう決意を固めていた。これで生徒会に対して立場を取ることになる。そして、この選択が今後どうなるのか――それは俺の手の内にあった。


生徒会室に入ると、会長はいつものように落ち着いた表情で座っていた。


「来たか、龍ケ崎くん」


「話がある」


「ふむ、何か進展でもあったのか?」


「お前が言ったように、俺は選ぶことにした。お前の話す問題に関して、俺が暴露する形で解決したい」


会長の目が鋭くなる。


「暴露?」


「その通りだ。俺は今まで黙っていたけど、そろそろ我慢ならなくなった」


「君が暴露することで、どんな結果を望んでいる?」


「結果はどうでもいい。俺が望むのは、ただ一つだ。君たちが今、この学校でどんな力を振るっているのか、それを全て明らかにする」


会長はその言葉をじっと見つめ、微笑みを浮かべた。


「分かった。君の選択を受け入れよう」


「だが、それだけでは終わらない」


会長が立ち上がり、机の引き出しから一枚の資料を取り出した。それは、これから俺が挑むことになる、さらに大きな問題を示唆しているものだった。


「君が暴露しようとしていること、それはこの学校の一部だけの問題に過ぎない。しかし、本当の問題は、君が考えている以上に深い」


その言葉が、俺の心を再び激しく揺さぶった。

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