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ミラージュ大教会にて〜Part2-I

キリッとダイアナは唇を噛んだ。


自分は小さいころからずっとそばにいたし、ずっと自分がディエゴの世話をしてきた。

最初は片思いだと思っていたけど、少しは自分を見てくれるようになってきたと思っていた。


けれど、突然、そのぽっと出の他国の令嬢はディエゴの心を奪っていった。


いつ婚約の申し込みがあるのかと…

適齢期が過ぎてもずっと待っていたダイアナのもとにはついに婚約の申し込みは届かず、代わりにディエゴが婚約者を連れてくるという情報だけが父親であるビーティー公爵から伝えられた。


「あきらめなさい。こうなったら他の相手を探すしかあるまいな…」


ふぅっとため息をついた父の落胆した顔も忘れられない。

自分はビーティー家にも幸福をもたらすことはできなかったのだ。

公女として、家を繁栄させる役割を果たすこともできず行き遅れた自分。


この気持ちの持って行き所はどうすればいいのか。


ついにディエゴから連絡がきた。

今日、ミラージュ大教会でディエゴとその婚約者とダイアナと3人で会うのだという。


絶対…

絶対…

引かないから。




先に着いたダイアナは子どもたちと一緒に刺繍を楽しんでいる。


こんなこと、あのファビアという令嬢にはできないでしょう?


しおらしい女性のようなことはできそうにない活発そうな女性だった。

この間も刺繍もお菓子作りもできないと子どもたちに残念そうに伝えていたっけ。


こんな淑女の嗜みもできないような女性を皇太子妃にするというのか。

自分はこんなに努力してきたというのに。


「ねぇ。ダイアナ様ぁ。もうすぐこれなくなるってホント?」


いつもダイアナの隣に座って学ぶ一番刺繍に熱心なキーラが心配そうに眉を下げ、問うてくる。


「キーラ。それ言っちゃダメって館長様がおっしゃったでしょう?」


「だって。ダイアナ様がこられなかったらわたし…刺繍ができない…」


しくしくと泣くキーラの頭をポンとおさえる。


こんなに惜しんでくれる子もいるっていうのにね…。

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