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いざ!ディエゴの部屋へ

ディエゴが部屋に戻っているのは分かっている。

何となくだけれど気配がするもの。


けれどディエゴは今日もこちらには来る気はないに違いない。


何故なのか…は置いておいて…ファビアはディエゴに会わなければならない。


ファビアは悶々としていたが、ガバッとベッドから起き上がった。


「だいたいジメジメメソメソなんて似合わないのよ」


そう独りごちるとファビアは意を決してディエゴの部屋に続く扉をノックした。


ピクっとディエゴが動きを止めたのがわかる。

まさかファビアからノックされるとは思っても見なかったのだろう。


「ファビア?どうした?」


バタッと慌てたように扉が開いた。

何かあったのかと思ったのだ。


心配そうなディエゴの顔を見てファビアは途端に泣きそうになった。


「え?おいっ!どうしたんだ!」


いや、泣きそうじゃなくて、泣いてる?わたし…。


ディエゴが慌てふためくと、さらに涙が出てくる。


だって…自分の行動に左右されてるディエゴがあまりに愛しい。


「ねえ…ディエゴ様。わたし、何故泣いてるかわかる?」


「え?わからないよ。だから焦ってるんだよ。どうしたんだよ?」


「嬉しいの」


「は?」


「わたしが泣いてることに慌てふためいてるディエゴ様が…」


「はぁ?」


少し眉を顰めている。


「もうわたしのことに関心がないのだと思っていたから…。そんなことなかったのかもって思って…」


「……おまえ…」


ディエゴが固まっている。


そしてしばらくしてから…ディエゴがボソッと言った。


「ごめん…俺は…確かに昨日からお前を避けていた」


やっぱり…

やっぱりそうなの?関心ないの?


そう思ったらまた涙が出てきて…

ディエゴは慌てて、ファビアを中に入れ、ソファに座らせた。


「けどだな。理由があるんだよ。聞け」


「はい」


ファビアが涙目で自分を上目遣いに見ているのを見て、そのままやっぱり抱きしめてしまいたい衝動に駆られ、ディエゴはブンブンと頭の中でかぶりを振った。


「お前と夜にこれ以上会うと…襲わない自信がない。今だって、かなり気力振り絞って耐えている」


そしてディエゴは目を瞑る。


え?

ファビアはディエゴを見た。


「あの…そう言うことなら、わたしはいつでも別にいいのだけど…」


「俺が良くない!ミルアーのしきたり通り、ちゃんとお前を、結婚式の日に抱くって決めてる。それは俺のこだわりだ」


「初めてでもないのに?」


「そ、それは…言っておくが転生してから俺は童貞だぞ。正確には17歳以降と言う意味だがな」


17歳まではかなりメチャクチャだったことは伏せておいた。


「え?まさかお前…」


「わたしも転生してからは処女です。当たり前でしょ」


転生する前には王妃だったのだから当然レイナルドとやることはやっていたわけで、それにですら嫉妬してしまう自分をディエゴはしばいてやりたくなっていた。


今のレイナルドとは一度もやったことがないのにも関わらずだ。


「うん。わかってる。それで、何だ?一体どうした?何か俺に言いにきたんじゃないのか?」


なんとか気力を振り絞り目の前にいる夜着のファビアの顔を見る。

身体は見ない。


「そうだったわ。ディエゴ様」


と突然ファビアはガシッとディエゴの手を握り、ディエゴがぎょっとする。


「おっおいっ!だから」


「そんなこと言ってられないの。気配を消して」


ファビアに言われるがまま、ディエゴは気配を消した。


「ふぅ…」


深呼吸と共にファビアが口を開く。


「ディエゴ様に薬を盛った犯人なんだけれど…ね」


ファビアがそして静かに言った。


「アーグフルト様ではないと思いますわ」

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