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レイナルドと対面する

「ファビア嬢」


あー…ダメだ。その声…聞いてしまったら…。


まだ少年のその声は…。

昔の懐かしい恋心を…思い出させてしまう。


ファビアは恐る恐る顔を上げた。


「レイナルド・ルカ・ガーディアンだ。是非、ご教授願いたい」


あー。

殿下。


サラサラの青みがかった銀糸が輝くような髪に濃い菫色の瞳はガーディアン王家の血を引く者であることを示す。

まだ17歳の青年であるのに、利発そうな凛々しく整った顔立ち。

最後に見たときよりまだ背も低くはあるがスラっと足が長くてその聡明さはオーラに現れており、カッコいいの一言でしか言い表わせない。 


レイナルド王太子殿下。


前世の…ファビアの最愛の…配偶者。

一度も愛されることはなく…最後はファビアが殺したも同然…。


胸にズキンと痛みが走る。


「わたくしなどが…畏れ多いことでございます」


直視できない。

そう思ってファビアはすぐに視線を逸らした。


「ファビア嬢。ぜひに」


陛下から2度目のお言葉があっては断ることはできない。


ファビアは震えないよう必死で心を制御しつつ、手を取った。


その温かみのある手を握ると泣きそうになる。


現世で出会ってしまうことをこんなに恐れていたのに…

どうして?


だいたい前世ではこの舞踏会で殿下に出会うことはなかったはずだ。

だから現世もと…油断していた。

前世では隣国カンディアナ王国に留学していたし、今世でも同様に留学中であることは確認していたのに。


なのに…。


曲が始まっても、レイナルドの目を見ることは出来なかった。

見てしまえば最後…また…恋に落ちてしまう。


それだけは避けなければ…。


どうやって踊ったのか記憶にも無いくらいだがなんとか踊り終えた。


「ファビア嬢はダンスがうまいですね。またご一緒したい」


「いいえ。わたくしなど…取るに足らない人間です。どうかお忘れになって」


「ファビア嬢?」


ダンスを踊り終えるとファビアは一目散にその場から逃げ出した。


「あっ!」


レイナルドは何か言いたそうに手を挙げたが、かまっていられない。

なにしろ自分はレイナルドに1番近づいてはいけない人間なのだ。


早く目の前から消えなければ…。


今度こそ。レイナルドには幸せに国王としてガーディアンを導いてほしいのだから…。


わたしは消えなければならない。


なんとか化粧室へ入ると、ふうっーと一息吐いて、落ち着いてから、化粧室を出たところで、ドンッと誰かとぶつかってしまった。


「あっ。ごめんなさい!」

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