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オルコット家お茶会

「ファビア様。今日もお綺麗ですわ~」


オルコット嬢こと、モニカ・オルコットはファビアの1つ上の19歳で、ウエーブした黒髪に紫の瞳をした美女で、底抜けに明るく、貴族特有の裏表とは無縁に見えるような女性だった。


きっと本当に綺麗と思わなければ口からこの言葉を紡ぐことはしないだろうと思われるようなまっすぐな雰囲気を持っている。


「わたくし、憧れますのよ。ファビア様のその抜けるような白い肌の色。いいですわ~」


うっとりとして言われるとどう対処すればいいのかわからなくなる。


「ガーディアンでは普通ですわ。わたくしにとってはこちらの方たちのような精悍な顔立ちのほうがうらやましいですわ」


実際、ディエゴのあの精悍な色気に惚れている自分にとっては、少し肌色が濃く、彫の深いこの顔立ちに憧れるというものだ。

しみや、そばかすも気にしなくてよさそうだし。

日に焼ける心配もしなくてよさそうだ。


「まぁ。ファビア様がドレスに着けていらっしゃるその房のような飾りは何ですの?」


横からひょっこりと顔を出したのは、ガードナー伯爵家の令嬢だ。


「これは東洋で流行していたものだと、ディエゴ様がお土産を…」


南部の街は東洋との貿易が盛んらしく、ディエゴがお土産に買ってきてくれたものだ。

珍しいものだから今日着けていくといいといって朝着けてくれたのだ。


「まぁ。お土産ですか。愛されていらっしゃるのねぇ…」


令嬢たちはうらやましそうにファビアを見ている。


「わたくしもそれ着けたいですわ。どこで手に入りますの?」


「今度、マチナス貿易商が仕入れるらしいですわ。来月にはジュリアードにも入ってきますわよ」


いい宣伝になるものだ。

マチナス貿易商はディエゴが平定した南部の街を牛耳る商人が経営しており、ディエゴの息がかかっている。南部の民をまとめるためには彼らがディエゴの手足となって働いてくれることが重要なのだとディエゴは言っていた。

彼らにも富をもたらさなければ南部をまとめる役目を買ってはくれないのだ。


もちろん彼らは民から税金を搾取するようなことはしない人物だとディエゴは言っている。


これで彼らもディエゴに協力してくれることだろう。


「まぁ。ほんとですの?早速主人に言わなければ…」


「わたくしもお父様に…」


若い貴族の令嬢たちはこういうときには一番動いてくれるものだ。


今日はある意味有意義なお茶会になった。

ファビアはオルコット嬢とその派閥の令嬢たちという絶大な女性支持層を得る事になったのだった。


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