再会して早々別れですか。
次の日からファビアは一人になってしまった。
ガーディアンから来た家族たちは早々に引き上げていく。
キャロライナは始終名残惜しそうにしながらかなり心配げな表情をしていたが、ジーニアはファビアの手を最後にぎゅっと握り、
「お前が選んだ道だ。お前なら切り開けるだろう」
と告げ、肩をポンと叩いた。アランは
「姉さま今度は結婚式でね」
と最後に頬にキスをくれた。
ディエゴはその日の早朝にやってきて、まだ眠い目をこすっているファビアを叩き起こし、額にチュッとキスを落とし、手を握り言った。
「おまえに護衛騎士をつけた。もうすぐやってくるだろが、女性騎士だ。信用できる奴だから頼るといい。俺は不本意ながら南部の内乱の制定に向かう」
昨日の夜、寝る前にディエゴと今後のことを話し合ったが、ディエゴのスキンシップがガーディアンでプロポーズされた(いや、ファビアがしたに近い)ときみたいに親密じゃなく、少し拍子抜けしている自分にファビアは気づいた。
今も額にキス…。それでもその少しのスキンシップでもうれしいけど…。
何か少し物足りないのよね…。
けれどまじまじとディエゴを見つめると、やっぱりディエゴはカッコよくて…最高の男性だと…ファビアは思った。
それにしてもやっぱり結婚前の婚約者が戦争に赴くのを見送るというのは不安以外の何物でもない。
この強さを持ったディエゴに限って何もないとは思うが、それでも戦争とは殺し合いの場には違いない。
「ディエゴ様。どうかご無事でね」
「ああ。大丈夫だ。俺は失敗しない。それよりお前が心配だが…」
「大丈夫。なんとかやりきるから」
「ああ。頼むぞ。帰ってきた俺を必ず笑顔で迎えるんだぞ」
「ええ」
ディエゴは最後にファビアをぎゅっと抱きしめるとそのまま意を決したように身を離し、部屋を出ていったのだった。
キスはしてくれないのね…。
以前実家でしたような情熱的なキスがなくて少し寂しくて、ファビアはディエゴが抱きしめてくれた肩を抱いた。
どうかご無事で…。
わたしはその間に宮殿での地位を固めなきゃ。
さぁ今日からやるわよっ!




