いざ、ミルアー帝国へ
お待たせいたしました。
後半戦突入です!
いよいよ結婚!
さぁ、うまくいきますかねぇ?
「ファビちゃん。ご覧なさいな。あんなところで踊っているわ。まあ楽しそう」
「姉上!あれはなんですか?」
「お母様、あまり乗り出しているとはしたないといわれるんじゃなかったですの?アランも。馬車が横転するじゃないの」
「「けど!」」
2人同時に反論するところは親子だなぁと思う。
ファビアは家族と共に婚礼のためにミルアーの帝都ジュリアードにやってきた。
婚約をしてからわずか半年だ。
その間、ディエゴは忙しいと言って全く顔を出さず、花嫁がミルアーに入るというのに迎えにすら来ない始末。
本当にこの人でよかったのかと少々不安になっている今日この頃だ。
「こら。2人ともやめなさい。興奮しすぎだ。この国が世界をリードしている斬新な国だから興味があるのはわかるが…」
ジーニアが笑いながら注意しているのは口だけだ。
彼もどうやら外の風景を楽しんでいるらしい。
あまりにガーディアンと違いすぎるからだ。
街は活気にあふれていて、街の大きな集会所のような広場でダンスをしている集団がいたり、そのまわりでは屋台がたくさんあふれていたり、とてもガーディアンでは考えられない眺めだ。
ガーディアンはほぼ小麦地帯で、商業都市は王都ガナディーに限られており、そこもどちらかというと貴族が支配していて、平民はこんなにも活気にあふれてはいない。
おそらく3人ともこの景色を目の当たりにしてガーディアンがいかに遅れているかということを実感しているに違いない。
ファビアも内心はワクワクしていた。
この街に住めることが。
これから先不安がないといえばうそになるが、この街が好きだからだ。
ディエゴが自分をほったらかしにしていることには多少不満はあるものの、いくら戦争狂でなくなったとはいえ、今世でも特にミルアー南部の諸国との国境の治安が悪いことに変わりはなく、戦争が今でも南部で行われており、彼が忙しいことはわかっていたし、自分は今世ではひとりでもやっていけるタイプになっていたし、何なら彼がいないほうが、街に出歩いたりできて楽しいじゃないかと思ったりもしている。
ふふふ。楽しみだわ。
ただ、ひとつ問題があって、ミルアー帝国はガーディアン王国より南に位置する為、幾分ガーディアン人より肌色が黒く、髪や瞳が黒に近い人間がほとんどで、ファビアのような薄めの金髪に白い肌はとても目立ってしまうのだ。
まぁそれでもフードでもかぶればなんとかならないかしらね?
安易に考えているファビアだった。
今から初めての王宮入りの運びとなり、ディエゴと久々に対面することになる。
さぁ…行きましょう。
これからのわたしの居場所、ジュリアード王宮へ。




