トントン拍子にコトは運びます
「おまえはミルアーの皇后になる覚悟はあるか?」
い、いきなりコアな話になるのね。
宣言通りディエゴはその夜遅くにファビアの部屋に不法侵入した。
握る手も今までとちがって、指を絡めてくるので少しびっくりしている自分がいる。
「そ、それは…。一度失敗しているから怖くないといえばうそになるけれど、一度目の時とちがうから。あなたがいるから大丈夫な気がします」
「なら覚悟はあると見做すぞ」
ますます指がからまり、ファビアはくすぐったくて、身体をくねらせるとディエゴがソファの上で後ろからファビアをふわりと抱きしめた。
「明日公爵に打診して、結婚の日取りを決めよう」
「もうそんなところまで話が進むのですか?」
「早い方がいいだろう?」
「そ、そうだけど…」
「俺はいつでも今すぐにでも連れて帰りたいくらいだ。明日一度ミルアーへ戻らないといけないから、次来るときは、お前を迎えにくるつもりだからな。そのつもりで準備していろ」
「え、ええ。わかりましたわ」
「それと、もう敬語はいい。ふつうに話せ。そっちのほうがおまえらしい」
「は、はい」
からまる指に…うなじにかかるディエゴの吐息に…ファビアはクラクラとしている自分を抑えられなくなっていく。
「ちゃんと言ってなかったから…ちゃんと言わせてくれ」
「え?」
ディエゴがくいっとファビアの顔を自分のほうへ向けた。
「おまえを愛してる」
「ディエゴ様。わたし…」
ディエゴの碧い瞳は深くて、その言葉に嘘がないことは瞳を見れば理解できた。
と、一瞬ファビアの唇がディエゴの視線に捉えられたと思ったら、ディエゴの唇がファビアのそれに重なっていた。
「んっ…」
そのまま口の中に巧みに入ってくるディエゴの舌使いにファビアは正気を失いそうになる。
な、なに?この人。
慣れすぎよ。
次第にクラクラしてきたファビアはディエゴにしがみついていて、唇を離されて正気に戻るとカァーっと顔が真っ赤になるのを感じた。
ディエゴはそんなファビアを満足そうに見つめている。
あまり、慣れてるわけではなさそうだ。
前世の夫婦仲は最初から悪かったということだな。
まあ俺が最高の女にしてやる。
「今日はこれくらいにして…俺は戻る」
「え?」
名残惜しそうにディエゴを見つめるファビアを見て、果たして自分が結婚まで我慢できるのだろうかと心の中で苦笑しながら、しぶしぶディエゴもソファから立ち上がった。




