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戦いI

いよいよ、いよいよです。

episode 1 クライマックス突入!です。

「こちらです」


レイナルドの部下に案内されて到着した現場は町の酒場で、もともとお忍びのため下級貴族の装いをしていたレイナルドと、家で簡易のドレスに着替えたファビアにとってはばれにくく都合の良い場所だった。

ここでは、レイナルドはセディ、ファビアはメイサとして振る舞うことに決め中に入る。


酒場の中はいろんな匂いが入り混じっており、臭いのきついものを取引するにはうってつけだ。

ファビアとレイナルドは酒場の端っこの空いてる席に腰を下ろした。


うっ。耳が痛い。

悪意の温床だわ。

この中から必死で探す。悪意の声を。毒薬の会話を…。


端から順に…


ここじゃないわ…


ここでもない…


あ、あった。

奥だわ。

あの扉の奥の…そう。2階!


「セディ。2階ですわ。2階で取引の真っ最中だわ。2人、いえ、3人の声が聞こえる」


「本当か?」


レイナルドが目を見開き驚いている。

レイナルドに見聞の能力のことを話しているわけもないので驚かれて当たり前だが説明はあとだ。

とにかく急がなければ。


「はい。早く乗り込みましょう」


「いや、メイサを連れて行くわけにはいかない」


いや、今そんなこと言ってる場合じゃない。

わたしは大丈夫なのに…


「そんなこと言ってられません。わたしは大丈夫です。いいから行きますよ」


ファビアが立ち上がると躊躇なく二階への扉に向かうのでレイナルドが慌ててついてくる。


「ち、ちょっと!待って」


騒ぎになってないのは店の客にとっては周りで何が起こっていてもどうでもいいことだからなのだろう。みんな酒を飲むことと女性を口説くことと自分のことについて雄弁に話すことに夢中なのだ。


ファビアはそのまま躊躇せず声の方に向かってひたすら進んでいくとある部屋の扉の前でピタリと止まった。


後ろから慌ててついてきたレイナルドがあやうくファビアにぶつかりそうになるが、ファビアは冷静にこの中だと目だけで合図する。

レイナルドはコクリうなずくと一緒にきた部下たち3人にレイナルドが指示し、ドンと扉を蹴り倒し、銃を構え、中を見据えた。


「動くな」


とセドリックのドスの効かせた声が静かな部屋に響く。


中には3人の男がいた。

声は王宮で去年聞いたものと同じだった。

この中の2人が去年の男たちで、もう1人はあの時居なかった者だろう。


中はシナモンの匂いが充満している。


回りに気を配りながら、そろりと中に入る。


「おまえ…」


レイナルドが1人の男を見て怒りの表情をあらわにする。


ファビアもその男は見たことがある。

茶髪に茶色い目なので特に目立つことはないが、その体の大きさが特徴的だ。


王宮のどこかで…


そうだわ。

フロレンティーナ王女殿下がいつも連れている…護衛騎士。


「で…殿下?」


男は目を見開いている。


「やはりお前が手引きしていたのだな。調査の通りだな」


レイナルドが合図すると部下たちが護衛騎士の前に立ちはだかった。


「くそっ。なぜわかった?」


「お前がマーガレット王妃の乳姉妹の息子だということは調査済みだ。これは誰の命令だ?答えろ」


「……」


男は口をギュッと結び、話すまいという意志を見せた。

と、レイナルドが部下に命令し、残りの二人が茫然として立ち尽くしているのをいいことに今まさに取引しようとされていたそんなに大きくない包紙を取り上げようとした時だ。


その二人が合図したかのように一斉に窓に向かって走り出したではないか。


ぼーっとしていると思っていたのに。


ダメよ。

逃がさない。


ファビアは素早く窓の前に移動すると両手を広げて立ちはだかる。


わたしの運動神経舐めてもらっちゃ困る。



「行かせないわ」


「ファビア嬢!あぶない!」


レイナルドが慌てたように叫んでいるけど、ファビアの人生は一度は終わった身、この者たちを逃さないためならこれくらい怖くなどなかった。


「な、なんだ?」


男たち二人はさすがに女が立ちはだかるとは思ってなかったのだろう。少し動きが鈍くなった隙にレイナルドの部下が二人を拘束し、包紙を確保した。


よしっ!

ナイスだわ!


えっ?


心の中で喝采を送りガッツポーズをしたその瞬間、ファビアは後ろから大きな手に羽交締めにされ、動けなくなっていることに気づいた。



あっ。

油断…しちゃった。



「ふん。おてんばな令嬢だぜ。ったく」


フロレンティーナ王女の護衛騎士がまさに…ファビアの首に剣を当てていた。

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