再会
「ディエゴ殿下…」
ほっとすると腰が抜けそうになり、よろよろと膝を突きそうになったところをディエゴがひょいと腰を抱き上げた。
「お前。危ないぞ。こんなところっ!俺じゃなかったらどうするつもりだったんだ!ったく!」
眉が吊り上がり怒っている。
「いやだって。大丈夫だと思ったんですもの。っていうより、久しぶりなのに怒らないでくださいな」
ファビアがにこっと笑ったせいだろう。ディエゴはふいっと視線を逸らした。
「笑うな」
「笑ってろといったのはディエゴ殿下よ」
「ふんっ」
そのまま視線を逸らしたままで、ガゼボにファビアを座らせてくれた。
「こちらを向いてください。久しぶりなのに…。もっと会って話したかったですわ。舞踏会にいらっしゃるなら言ってくださればよかったのに」
久々のディエゴがうれしい。
まぁけれど変わらないわね。この方は。
相変わらず美しくて、色気抜群の色男だわ。
ディエゴをにこにこと観察していたら、おもむろにこちらを振り向いた。
「ジロジロ見るな」
「だって、久しぶりですから」
そういえばいつもはディエゴのじっと見つめる視線にたじろいていたのは自分だったはずなのにとファビアは不思議に思った。
なぜ今日は視線を合わせないのかしら?
いつもみたいにじって見てほしいなぁ…。
「それにしてもディエゴ殿下は気配を消せるのですか?わたくしアランドロ様に剣術を習い始めてからかなり気配に敏感になったつもりなのですけれど…」
そう言ってからファビアは、ん?と思った。
最初からそうだったわ。
ディエゴ殿下はわたしに近づいてきたとき、まったく気配を感じなかった。
戦地でそういう能力を身に着けられているのかしら。
「ああ。気配を消せるのは確かだ」
「え?」
すっと今またディエゴの気配がなくなった。
「殿下っ!」
と、気配が復活する。
「まぁこんな感じだ。俺の能力だな」
くっくっくっと肩を動かして笑っているではないか?
「どういうことですかっ!」




