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マーガレット王妃とフロレンティーナ王女

お盆で忙しく、少し更新とどこおるかもです。

ところが…

そうそううまくはいかないもので…


舞踏会では殿下から事前に王宮に入ってくれと連絡が来た。

そこから一緒に会場入りせよと…。

そしてさらに大きなエメラルドの宝石が入ったネックレスまで頂いてしまった。


ため息しか出ない。


「ガーディアンの太陽と月にご挨拶申し上げます」


事前に入れと言われたということは陛下にも事前に挨拶をせねばならないということ。

謁見の間で目の前に鎮座する国王陛下ならびに王妃殿下に頭を下げる。


「レイナルドが帰ってきて初めての舞踏会だ。一緒に楽しむといい」


「恐れ入ります」


陛下は相変わらず優しく声をかけてくださった。


けれどその隣には冷ややかな視線を投げる人がいた。

マーガレット王妃だ。

彼女は陛下がいるときには何も言わない。

前世でもそうだった。

だから陛下がご存命の間はよかった。

けれど陛下はレイナルドとファビアが結婚式を挙げた年の終わり、すなわち来年の舞踏会の後くらいから突如として体調を崩され、そのまま3年間の療養後、身罷られてしまう。


それからが地獄の始まりだった。

マーガレット王妃が突然力を持ち始めたのだ。

レイナルドはマーガレット王妃の実子ではない。

実のところはレイナルドの母親の身分はあまり高くはなく、ガーディアンの属国、マサ王国の末端貴族の令嬢だったらしい。

ファビアが物心ついたときにはもう亡くなられていてファビアは知らない。

身分の低い母から生まれたレイナルドはマーガレット王妃には決して良くは思われてはいない。


「わたくしからは何も言うことはありません」


冷ややかな声は前世と同じだ。

背筋が凍るような気分になる。


「お母様!もう舞踏会へいらっしゃるの?」


そこへ入ってきたのはフロレンティーナ王女だ。

レイナルドと同じ菫色の瞳にマーガレット王妃と同じファビアよりは濃いブロンドのウェーブした髪を持っている。

前世ぶりにお会いする。


確か今13歳。

マーガレット王妃の実子で来年デビュタントのはず。

そういえばもうお身体はいいのだろうか?

小さいころ身体が弱く、冬の間は毎年温かい場所へ療養に行かれてたらしい。

前世ではファビアが王族と関わり出した頃には王都で過ごすようになられていたが、最初の頃はよく熱を出されていた印象がある。

だが、だんだんよくなられて、そしてデビュー後すぐにミルアーの第六皇子に嫁いだ。


ミルアーに王女が嫁いでいるにも関わらず、ディエゴはガーディアンを滅ぼしたんだわ。


前世のディエゴならそんなこと気にもかけないような戦争の鬼だった…


そう思っていたのに…


ディエゴ…

どうしてるのかしら?


アクランドの領地で別れてからは一度も顔を見ていない。


ガナディーの剣士様の師匠アランドロのところで手紙をやりとりするようにしていて、その手紙の内容では、今は戦争はしていないという。


前世では今頃戦争で領土を大拡大していたところのはずなのだけれど…。



「まぁ!どうしてこの方がいらっしゃるの?」


ファビアを見て扇で顔を隠すのはフロレンティーナ王女だ。

同じ空気も吸いたくないらしい。


まあ要は…マーガレット王妃と同じ部類の人間。

純血(家柄の良い高位貴族同士の子ども)のみが貴族だと思っている人たちだ。


「フロレンティーナ。こちらに」


王妃が呼び寄せた。

王妃は本当はフロレンティーナをガーディアンの後継にと画策していたと噂だった。


王妃がこそこそと何やらフロレンティーナに呟いていて、フロレンティーナはファビアを見てくすくすと笑った。


前世なら苛立っていたけれど、今は何も感じないわ。


ファビアは目を伏せ、静かに頭を下げ続けていた。


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