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天才?ファビア

さすがに今日はわがままは許さないとファビアは生まれて初めて、父から叱られた。


公爵令嬢として挨拶もできぬではこの貴族社会でどうやってやっていくつもりだと。


前世と違ってまともなことを言う父にファビアは少しびっくりしたが、よく考えてみたら、前世では母との仲も悪いままだったし、アランだって存在自体していなかったし、自分が言ったわがままを何でもほいほいと聞いていた父は正常な判断などできていなかったのではないかと思った。

前世と今ではあきらかに状況が違ってきているということだ。


それに先程エリナに聞いてみたかったことを聞いたファビアは、ミルアーがなぜか前世の頃と様相を変えてきている事実を新たに知った。

実際その目で見たことのあるエリナが言っているのだ。事実に違いない。


ミルアー帝国は前世では戦争を仕掛け、領地を奪っては恐怖政治を敷く横暴国家だったはずだ。


それがなぜか今世では新しい考え方の国に様変わりしている。


その部分はなぜなのかわからないが変わってきていることは確かだ。


いい状況…?なのだろうか?


不安ではあるけど、違っているということはガーディアンが滅びる確率も下がっていることにはなるわよね?


きっといい状況だと自分に言い聞かせ、ファビアは父の言葉にごめんなさいと頭を下げると、一緒に主要貴族の方々に挨拶をしてまわった。


ろくに教育もしていないのに無難に挨拶を交わすファビアにジーニアは満足そうだ。


「ファビア。おまえは天才なのか?」


こっそりつぶやく。


「家庭教師の話ではおまえは出来の悪い生徒だと聞いていたのだが…」


ふふふ。

ファビアは心の中で笑う。


だって、全部前世でやったのだからできて当たり前よ。


ファビアは王妃だった。

自分のわがままでなかば強引に王太子妃から王妃となったわけではあるが、それでも妃教育はまじめに受けた。

平民の血をばかにされたくなかったし、ちゃんと王妃としてガーディアンの母になるつもりだったから。

まぁ…完膚なきまでに打ちのめされてしまったけれどね…。


「もしかしたら天才なのかもしれませんわね」



だいたいの挨拶が終わると、ジーニアが気の張らない友人らしき中年男性と長い話を始めたので、ファビアは挨拶をして、その場を後にした。

ダンスが今落ち着いている間に、ホールを出よう。


申し込みされたらたまらない。


おそらく、王太子と踊ったファビアには声をかけづらいのか、今のところはダンスを申し込まれはしなかったが、このまま一人でいるといつか声をかけられるだろう。


そうだわ。休憩室があるはず。

そこに行っていよう。


目立たないように、壁に沿ってダンスホールを出ると、少し歩き、あまり人がいない回廊まで出てやっとふぅーっと一息ついた。


とりあえず目立たないようにしなくちゃ…。


足音をあまり立てないよう、そろそろと歩いていたのだが…。


『第二宮殿のほうも探ってくるようにとのご命令だ』


『あいわかった』



ん?


小さな声だった。


けれど、鮮明にその声は聞こえたのだ。

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