6.僕のモノ*アラン視点
*公爵家長男のアラン視点です。
僕が、ユリアナのことを知ったのは、5歳の時だ。とある花が咲く丘で偶然見かけた。ユリアナは花が好きなようで、無邪気に花をつんでいた。走り回って危なっかしくてつい目で追っていると、僕の近くに来た時にユリアナは転びかけた。僕が危ないと思って手を出してユリアナを助ける。するとユリアナはまぶしい笑顔を僕に向けて
「助けてくれてありがとう! 王子様みたいだったわ!」
そう花を差し出して言う。きっとこの時僕はユリアナに恋をした。
その後両親にユリアナの事を話すと、両親は顔を曇らせた。なんでも、ユリアナの大叔母上に、僕の大伯父上は酷いことをしてしまったらしい。両親は、ユリアナも僕もまだまだ物心がついてきた時だから、と言って僕が12歳になるまでユリアナを好きでいれたなら、婚約を申し込んでみようと言った。
僕は、公爵家の影に命令してユリアナの事を見張らせて定期的に報告させた。ユリアナの事を知れば知る程、この気持ちは増すばかりだった。
僕が12歳になってもなおユリアナの事が好きだったから、両親はアンダーソン家に婚約を申し込んだ。しかし、断られてしまった。僕は断られたことが悲しかった。大抵の令嬢は僕に媚びへつらうから、ユリアナもきっと僕との婚約を望んでいると頭の片隅で思っていたのかもしれない。僕はユリアナの本心を聞きたくて、茶会に招待した。ユリアナは来てくれないと思っていたので、茶会当日にユリアナを見かけた時には、それはそれは天にも昇るような気持だった。しかし、ユリアナの近くに見知らぬ男がいた。しかもその男はユリアナのことをユリと呼んでいた。腹が立った。僕は、周りの令嬢たちをかわしてユリアナの腕を掴んで引っ張っていく。ユリアナは困惑しているようだった。
ユリアナに僕も愛称で呼んでもいいかと聞くと、やんわり拒否された。むかつく。あいつはよんでいたのに。
ユリアナは僕の名前を知らないようだった。上位貴族でありながら、僕の名前を知らないということに僕は驚いて思わず笑ってしまった。僕が名乗ると、ユリアナは僕の腕を振り払って、この場から立ち去ろうとする。僕は慌てて彼女を引き留める。やっぱり、大伯父上とのことをユリアナは怒っているのだろうか。
僕は大伯父上と違う。絶対に君を幸せにするから結婚してほしいと頼むけれどユリアナから返事は無くて。僕が不安になって声をかける。するとユリアナは
「えっと、貴方とは結婚できませんわ。」
それは僕にとって絶望的な言葉だった。やはりユリアナは、僕の大伯父上がしたことを怒っているのだろう。だからその親戚に当たる僕とは結婚したくないに違いない。僕はマルティス公爵家に生まれてしまったことを憎んだ。絶望の中僕が理由を聞くと、ユリアナは
「結婚とは人生にとって一番大事なものだと思っておりますの。だから私は、ゆっくりと決めたいのですわ。それに私たちはまだ12歳ですし。まだまだ人との交流が浅い時期ですわ。多くの人と出会って、そして本当に好きな人と結婚するのが一番いいと思いますの。」
と答えた。……ユリアナは僕が公爵家の人間だから結婚したくないわけじゃない? 好きな人と結ばれたいだけ? それならば僕にもチャンスがあるように思えた。きっと僕は公爵家の人間だからマイナスからのスタートだろうが、チャンスがあるならば頑張ろうと思った。
僕は耳元で囁くと、会場へと戻っていった。ユリアナはその数分後に戻ってきた。さっきので腰が砕けていたのかもしれない。僕は思わず笑ってしまう。
ユリアナの近くに先程の男がまたやってきて、ユリアナと共に馬車へと向かっていくのが見えた。どうやらユリアナを送るつもりらしい。ユリアナの近くにいて、目障りだなぁと思って思わず殺気を向けてしまう。すると、男は僕の視線に気づいたようで、僕を睨み返してきた。へぇ。やっぱり君もユリアナが好きなんだね。ユリアナは男を手玉に取る天才だなと思いながらも、絶対に僕だけのものにすると決意を新たにしたのだった。
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私が死ぬほど喜んでやる気が奥底から湧いてきます。。