1.婚約...ですか?
短編小説「あなたが幸せになるならば。」を読んでくださった方が内容が分かりやすいと思います!
一応読んでなくても分かるようにはなっています!お暇な人は読んでくださるとうれしいです(*´▽`*)
とある話しを読んだ。「あなたが幸せになるならば」という好きな人が出来たからって婚約破棄をされる世にも滑稽な女性の話。……私の大叔母様の話。大叔母様はおかしい。どうしてあんな奴の幸せの為に自分を犠牲にできるのだろうか。私には分からない。あいつは他の娘を好きになったから婚約破棄したいと言った。……いやそれ浮気でしょ! 婚約者がいる身で婚約中もその好きな人と愛を育んで? 大叔母様を捨てる? かなり悪い男よね。でも、大叔母様はそいつに何の罪も求めなかった。……好きになった方が負けとはこのことね。他の物語もそう。婚約破棄される女性の話ばっかり! ……男ってゴミね。
私、ユリアナ・アンダーソンは、絶対にそんな男に振り回されないわ! 男なんて好きにならないわ! そう決意した12歳の春。
まぁでも、私侯爵令嬢だからいい身分の方と婚約して結婚しないといけないのよね。貴族に生まれてしまった宿命ね。はぁ。とため息をつく。
「ユリアナ。」
名前を呼ばれて振り返ると、そこにはすらりとした顔立ち。気品あるたたずまいの紳士的な男性が。普通の女性なら見るだけでもため息をつくだろう。この人以上の存在なんていないから、好きな人なんて一生できないわね。
「お父様!」
私はお父様に飛びつく。お父様は好きだ。かっこよくて強くて優しい。何より一途だし。政略結婚だったにも関わらず本当にお母様を愛しておられる。お父様は私を抱きかかえてくれた。
「お父様どうなさったのですか?」
「いや、実は……。お前に婚約の申し込みがあっていな。」
タイムリー。噂をすればなんとやらね。
「ちなみにお相手は?」
「……。」
お父様中々に貯められますわね。言いにくいお相手ということかしら。ならお父様が嫌ってらっしゃるクリスタ男爵家、レイズ侯爵家とかかしらね。しかしお父様が仰ったのは、この2家ではなかった。
「……マルティス公爵家の長男だ。」
あれ……今なんと? マルティス公爵家と言いましたよね。いやいやいや大叔母様を捨てたゴミ男がいた所じゃないですか! 絶対に無理ですわ! 本能が拒否して夫婦なんて関係になれるはずがない。あぁ婚約するとか聞いただけで鳥肌が立ってきましたわ。
「お父様......? 何故そのような所と婚約など? 絶対にうちとは相性悪いですわよね?」
「なんでも、昔からのわだかまりを解消したいと思ったんだそうだ。」
わだかまり......。確かに大叔母様のことがあって以来マルティス公爵家との交友は途絶えていた。成程それを解消するための婚約ですか。確かに両家にとってこのまま交友無しというのは手痛いですものね。
私が考え込んでいると、それをお父様は婚約が嫌だと捉えようで嬉しそうな表情を浮かべる。
「やっぱり嫌だよな! うん。私もそんな所に大事な娘を渡したくない! やっぱりこれは断ってくる。」
そう言うや否やお父様はゆっくりと私を下ろして、走り去っていった。私何も言ってないんですが。というか、上の身分の公爵家をそんな所呼ばわりですか。私も同じ感じの事言いましたけど......。まぁ婚約しないで済むならそれに越したことは無いですわ。婚約とか結婚とか考えるのは16歳位からでいいです。
何て悠長に考えていてはダメだったみたいですわね。今私の手元にはとある茶会の招待状。……マルティス公爵家主催の茶会の招待状。さすがにこれを断るのは無礼に当たる。侯爵家の方が身分は下だからだ。はぁ、発熱剤とか無いかしら。
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私のやる気が出ます!!
2日毎に投稿できるといいなぁって思ってます......。