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プロローグ
今は、太平洋戦争の記録を残そうとしている時代である。
原爆による被害や、国外の戦いの状況等、様々な歴史が証言されている。
それらには「のろい」がつきまとうが、私の思い出は違う。
美しいし、誇り高きものである。
しかも、たった半年間ではるが、短い間にこんな経験をした者は、我々以外にあまり居ないだろう。
昭和二十年四月に、東京陸軍幼年学校に入学し、
敗戦で解散帰郷するまでの生活を、事細かに報告し、
数ある戦時の歴史の中に加えさせて貰おうと思う。
わたしは現在79歳、血液病で入院し、南信の病院に居る。
一命は取り留めた様子だ。
その中で、暇すぎる時間を生かし、
自分史の一部として書いてみようかなと思い立ったしだいである。
思い出しながらだが、忘れたこと、記憶違いは、それに多少自慢話になることはご容赦願いたい。