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わたしの生活水準向上計画。(仮)  作者: 椿
第1章 下級貴族
9/9

熱の原因と魔力

そしてそれから一週間ほどだった。

今日も朝早くから始まり、年相応の知識を叩き込まれている。

あれから、毎日みっちりこつこつと色々な事に取り組み、ルーシェルの演奏以外はかなり上手くなった(と自負している)。


ルーシェルが下手な理由は、まだ慣れていないからあまり上手く弾けないからだ。

いやだって、弦楽器とか初めてだし……。


ただそれでも、周りの人達から見れば、5歳でこれだけ弾ければ十分だそうだ。

自分とスパルタお母様の中では、合格点に到達どころかまだ底辺をさまよっている感じだが。


また、ルーシェルやオクトロンの練習は一般に、10歳になる貴族の子供たちが、16歳になるまで通うことになる貴族院という所で練習するし、高位な貴族ほど、良い楽師を自分の専属の楽師として引き入れて、10歳ころから練習するものらしい……。お貴族様の教養として、学問だけでなく楽器の演奏や舞も習得しなければならないそうで。

大変だねえ、お貴族。

もっと豪華な暮らしをわがまま放題で過ごしているんだと思ってましたよ、ええ。


お母様の分かりやすい(超スパルタハイスピード)授業と、お母様が手配してくださった家庭教師の先生方に見守られながら、すくすくと(知識的には)成長しています。


ちょっと誰か褒めて!

いい加減な神様にほっぽられた世界で頑張るわたし、結構頑張ってると思うの。


ただし、身長差にはまだ慣れてなくて、裾を踏んで転ぶことなんて日常茶飯事。特に、立ち居振る舞いだったり舞だっりのレッスンになると、ばったんばったん転びまくり。

いやでも転ぶ回数もすっっごく減ったんだよ?いや、ほんとに。1日に10数回も転んでたのが2,3回に減ったんだよ?………………まあ、減ったし。


それはいいとして。


さてさて。わたしは今、何処にいるでしょうか!(某有名番組のパクリですすいません1度言ってみたかったんです)


正解は、ここでーす!ベッドの上でした!

別に寝る時間だという理由でもなく、何故か舞のレッスン中にスッコーンと意識を失って倒れた(らしい)結果、目が覚めたらベッドの上にいたという状況で。


そんなわたしの横にいるのはお父様とお母様お2人のみ。

真剣なお顔で話し込んでいるみたいだから話し掛けてもいいのか掛けない方がいいのか迷っていたところでお父様がわたしが目を覚ましたことに気がついたようだ。


「もう熱は下がったみたいだね、良かった良かった」

「まあ元々病気だという訳でもないですし。起きることが出来るのならもう大丈夫でしょう」


熱が出ていたからか、髪の毛が汗でベトベトするなーと思って髪を手櫛で梳いていたら、右手の小指にシンプルな金の指輪が嵌められていることに気がついた。


「ああそれはね、魔力を体外に出すための指輪よ。ほら、これ」


言われて見ると、お母様の指にもお父様の指にも。同じデザインの指輪が嵌められていた。


「今回リアナちゃんが倒れた理由は、魔力が体内に溜まりすぎたことよ」

「魔力………」


おおおっ!いよいよファンタジーっぽくなってきたね。


「魔力は常に一定量が体の中を巡っていて、少しずつ体内に蓄積されるようになっているのよ。その魔力が溜まりすぎないように、貴族はこの指輪を通して魔力が外に出すことで魔力が過剰に蓄積されないように循環させているの。一般の貴族の子供なら、指輪を付けると体内の魔力が放出されすぎて体内の魔力が足りなくなるから指輪なんてつけないんだけど………」

「リアナは特別だったね。大人と同じくらいは魔力が高いのかもしれないね」

「ああ、そんじょそこらの、自分のためにしか魔力を使えない低魔力のクズと違って、とても豊かな魔力量なのですよ、リアナちゃんは!」

「そうみたいだね」


うんうんと納得している2人。


「え?魔力なんて見えるんですかね?」


「見えるよ?」

「見えるわよ?」


見事にはもりました。


「リアナちゃんも魔力を扱えるようになると見えるようになるわ」

「魔力については貴族院に入ってからしか子供は学べないという決まりがあるんだ。リアナにとってはまだまだ先の話だね」


なんか、フロレンティアーナ様に直々に教えていただけるみたいなんですけど、わたし。え?あれは空耳だったとか?


「これは、魔力を神々からいただいたご先祖様が神々と交わした約束なんだということが聖書に書かれているから、わたくしたちでは教えられないのよ。ごめんね」


空耳だったんだろう、うん。

それに、流石にこの空気の中で「フロレンティアーナさまが〜」なんて言い出せるわけもなく。


「そ、そういえば、お父様はお仕事は大丈夫なのですか?わたくしのせいでお仕事に支障が出ては申し訳ないのですが………」


話を変えたつもりだった。


だが、話題が悪かった。


「リアナちゃんは、僕のことが嫌いなんだね………?僕なんかがいない方がいいのかい?」


えええ?そこっ?ただお仕事の心配をしただけのつもりだったのに!


「いえいえいえいえ。そういうつもりはなかったのです!ただ、心配になったので伺っただけですのよ!わ、わたくしはお父様がお側にいてくださるだけで嬉しゅうございます!ええ!できればもう少しだけでもいてくださりませんか?」


胸の前で指を組み、上目遣いで、お父様にキラキラビーム!


なんとかこうにかお父様の機嫌を損なわないように頑張るわたし。少しずつ機嫌が戻りつつあるお父様。こっちに背を向けて笑い続けるお母様。いや、笑ってないでフォローしてよ!かわいいかわいい娘が困ってるのにさあ!


「ああ、リアナがそう言ってくれるならもう暫くここにいようかな。今さっき七の鐘がなってお仕事を終わりにしてきたから、アレンに追われることもないんだよ」


アレンというのがいつもお父様を回収しに来る文官の名前だそうです。


お疲れ様ですアレンさん。


「お腹が空いてるなら、アンナとフローが果物を用意してくれているけれど、リアナちゃん、食べる?」

「それよりお風呂がいいです………」


お腹も空いてるけれど、体のベタベタ感の方が気持ち悪い。


「そう。じゃあおやすみ、僕たちの可愛いリアナ。しっかり休むんだよ?」


わたしをギューッと抱きしめて、お父様退場。


「明日はしっかり休みなさいな。1日お休みにしてあげるから。わたくしも話す相手ができて嬉しくて、少し忙しくしすぎたと反省しているのよ」

「いえいえ、暇になるくらいなら忙しい方がわたくしは嬉しいですよ?」

「でもリアナちゃんは覚えが早いから、勉強内容をどんどんすすめちゃっていて、貴族院でやるような事をやっているのよ?」


やっぱり?だよね?5歳児(精神年齢は十八だけれども…)がやるような事じゃないよね?

お母様は、許してね?と首を傾げている。か、可愛い………!!そして美しい。ただ、その後にぼそっと聞こえた、覚えが早いからどれだけでも覚えられるのかな〜?っていう好奇心もあって(テヘペロ)っていうのは要らなかったかなー。


まあ、


「歴史や楽器や舞は、できた方が良いのですから別に良いのではありませんか。お勉強が一段落するまで頑張りますよ!」

「世界史もあと何日かあれば終わるわよ?」

「その頃にはピアノがとどきますよ!」

「あら、そういえばそうね。リアナちゃんの楽師も探しておかないとね………。まあ、暫くは安静にしていなさいな。おやすみなさい、リアナちゃん」

「はい、おやすみなさいませ、お母様」


お母様ともギューッと抱擁を交わし、部屋を出るお母様と入れ違いに部屋に来てくれたアンナとフローがお風呂(盥)の準備を整えてくれた。


手際良く湯浴みの準備を整えてくれているふたりの横で、邪魔にならないように舞の復習をしていたわたしは、そういえばと思い出したことを口に出してみる。


「そういえば、例の木の実、探してきてくれた?」

「こんなのでよろしのでしょうか?」


盥を運ぶフローの分も、アンナがわたしが頼んでおいたピンポン玉サイズの木の実を布袋ごと手渡してくれた。


「そう!これこれ!こんなのが欲しかったんだよー!うふふ、これで頭皮のヒリヒリともおさらばよ!うふふ〜」


機嫌よく鼻歌を歌いながら湯浴みをするわたし。逆に、わたしを得体の知れないものを見るような目で見ながらも湯浴みを手伝ってくれる2人。

そんな目をしなくてもいいんじゃない…?まあ、わたしは気にしないけどね!


さあ、この木の実は何になるでしょうか。

びば!わたしの乏しくて忘れるのが早い、それでも木の実の存在を思い出した記憶力!




次回は頭皮のヒリヒリ解決策についてです。悩みがちょっと5歳児のものとは思えませんね(笑)

まあ、精神年齢は十八ですし!

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