第4話
書き溜め最後です。
~次の日の朝~
図太いのかわからないがいつも通りに爆睡し、いつも起きている時間に起きた。そして、昨日の約束が頭からすっぽ抜けていた。
「綾人~!朝だから早く降りてきてごはんたべなさ~い!」
綾人は母親の声とともにいつも通り学校に向かおうと家を出た。
「あ、綾人君!お、おはよう!」
家を出て道路に出た瞬間綾人は雫が待っていたことにびっくりした。
「雫!?なんでおまえ俺の家の前で待ってるんだ?」
「えっ。ご、ごめんね。やっぱり私なんかよりも安田さんたちのほうがいいよね。私との約束なんてどうでもいいもんね・・・。」
そういいながら、雫は涙目になりうなだれながら学校へ行こうとした。
(やっぱり私バカだ。できる限りかわいく見せようとおめかしまでして綾人君にかわいいなんて言われようとして調子に乗ってた。)
「あっ!ごめん雫!悪気があったわけじゃないんだ!待ってくれ、一緒に学校に行こう!」
そう言いつつ綾人は泣きそうになりながら歩こうとした雫の手を引いた。
「きゃっ!」
「おっと。」
雫はバランスを崩し引っ張られた綾人のほうへ倒れこみ、倒れこんできた雫を綾人は抱き留めた。
「「・・・」」
二人の間の時間が止まったように二人は固まっていた。
(えっ!?えっ!?えっ!?綾人君に抱き留められちゃった!どうしようそうしよう!?恥ずかしい!変なにおいとかしてないかな!すぐに綾人君から離れたほうがいいかな!綾人君すごくいい匂いもっとくっついていたいな!わ、私なに考えてるんだろうまるで変態みたいだよ!)
雫は頭の中でいろいろなことを考えながら慌てふためいていた。
(やべー、勢いで雫を抱き留めて抱きしめちゃったけど、雫一切嫌がるそぶりも見せないしめっちゃいい匂いするんだけど!しかも、まじかで見るといつもよりも雫がおめかしいていてめちゃくちゃかわいい!!そうかわいいのだ!めちゃくちゃかわいいのだ!!大切なことだから三回言った!でもそろそろ名残惜しけれど離して学校に向かわないと遅れちまう。)
綾人はそっと雫を名残惜しそうに離した。
「あっ・・・。」
「どうした?」
「ううん。なんでもないよ綾人君。それよりもさっき私に言ったのって?」
「あ、いや、そのだな。昨日の夜いろいろ会ってバタバタしてたせいで雫との大切な約束を忘れてたんだ。すまん!」
「そうだったんだ。それなら仕方がないね。」
「忘れていた俺が言うのも何なんだが、一緒に学校に行かないか?」
「うん!一緒に行こう!」
「よし!じゃあ早速学校に向かうか。」ギュッ
そういった綾人は雫の左手を右手でつないで歩き始めた。
「あ、綾人君!どうして私と手をつないでるの!?」
雫は急に綾人に手をつながれびっくりしながら言った。
「何でって、それはさっきみたいに転びそうになることを防ぐためだよ。俺が雫を守ってやる。」
「えっえっえ!?・・・ありがとう。」
雫は顔を真っ赤に赤らめながらお礼を言った。
それを見た綾人も顔を赤らめながら先を促しつつ二人で手をつなぎながら学校へ向かった。
こうして学校に向かっている綾人と雫を通学中の綾人に声をかけようと待っていた三人が隠れながら見ていた。
「ねえ二人とも、どうして一昨日まで仲の悪かった二人が手をつないで登校してるのかしら。」
「やっぱり私だけが見ている幻覚じゃなくて未歩と夕花も見えているのね。」
「綾人君も昨日から私たちによそよそしかったしなんかおかしいよね。」
「そうよね。まるで人が変わったみたいに変わっちゃって何か私たち失敗しちゃったっけ?」
「う~ん。私は何にも思い当たることがないからわかんないけど、この後学校で話して聞いてみよっか!」
「「そうね!そうしよう!」」
こうした三人の会話を綾人と雫はお互い手をつないでいることで舞い上がっており気づくことはなく、あとあと二人はもっと気をつけていればと後悔することになる。
教室に二人で入るとざわめいていたクラスが一瞬静まり返り、さらに大きなざわめきに変わった。
「なんで綾人君と金城さんが一緒に登校してるんだ?」
「そうだよな。あいついっつも教室に一人か安田さんたちと一緒に入ってくるもんな。」
「綾人君ってやさしいよねー。あんな不細工な幼馴染と一緒にいられるんだから笑笑」
「そうよねー。私なんてずっと一緒にいるだけで無理だよ笑笑」
そのようなことがクラスメイト同士の会話から聞こえてきて雫は顔を下に下げた。それを見た綾人は少しイラつきながらクラスメイト達に言った。
「おいおい、あんまりそういうこと言うなよ。雫とはこれから仲良くしていくし、そういうことが聞こえてくるとあんまりいい気持にはならねえから言わないでもらえるか。」
綾人の言葉にクラスメイト達はびっくりしながらも了承した。
了承したクラスメイト達を見てから雫を促して自分の席に向かわせた。綾人は雫と離れる時にこっそりと雫に言った。
「お昼休みになったら俺のところに来いよ。一緒に飯食べるからな。」
それを聞いた雫は少しびっくりしながらも頷いて自分の席に座った。
それを見た綾人も自分の席に向かい座った。そして、頭の中でいろいろなことを考えていた。
(やべー!雫の手めっちゃ小さくて柔らかくて最高だった!しかも、お昼休みも雫と一緒にご飯食べながら一緒にいられるとか最高すぎだろ!あいつらも空気を読んで二人で食べさせてくれればいいなと思うけどそういう感じじゃなさそうだしな。ハァー、あきらめるか)