第1話
前に書いてあった作品です。
書き上げていた分だけは毎日投稿していきます。
彼女たちは俺たちに向かって虚ろな目で叫んできた。
「「「ねえ、どうしてだれを選ぼうとしないの?どうしてそんなに怖い顔を私に向けるの?ねえどうして?ねえどうしてなの??どうしてなんも言ってくれないの!!ねえどうしてなのよ!!!」」」
俺は彼女たちの異様な表情を見て危機感を感じながら言った。
「やめてくれ!こないでくれ!!俺は何もしてない!お前らが勝手に恋人だとか言ってるだけなんだよ!!俺にはこいつがいるんだよ!こいつが彼女なんだよ!」
彼女たちはまるで私たちこそが終えの彼女であるかのように言ってくる。
「私はあなたのご両親まで認められたのにどうしてそんな不細工な女を選ぶの!ねえ何でよ!!」
「そうよ!こないだまで私たちと一緒に遊んで楽しそうにしてたのに急にそのブスなんかに尻尾を振るのよ!!」
「そんな不細工な女が幼馴染だとしても、こないだまであんなにも冷たくしてたのに急に好きだとか言ってるのよ!!」
俺はそんな理不尽なことを知らんというかのように言った。
「俺はこいつのことが好きなんだよ!俺がこいつのことを好きで何が悪いんだよ!俺からしたらこいつは美少女美少女に見えて、お前らが醜女に見えるんだよ!!なにが悪いっていうんだ!!」
彼女たちは俺の彼女である雫を見ながら叫ぶ。
「どういうことよ!?その女が美少女で私たちが醜女ですって!ふざけたこと言ってんじゃないわよ!!」
「まって二人とも、きっとあの女が綾人を洗脳しておかしくしたのよ!そうよ!きっとそうだわ!!それ以外に綾人が急にこうなるわけないもの!!」
「そうね!きっとそうだわ!」
「その通りだわ!!ハヤクアノオンナヲコロサナキャ・・・」
「ソウネ、アノオンナコロシテ、アヤトヲカイホウシナキャ・・・」
「マエミタク、アヤトト・・・」
俺は途中から片言で壊れたように見える彼女たちから雫の手を引っ張って逃げる。
「やばい!雫あの三人から逃げるぞ!!あいつらおかしくなってやがる!!走れ!!!」
「うん!わかった!!」
(どうしてこんなことになっちまったんだよ!俺はこいつのことが好きなだけなのによ!)
~1か月前のあの日の前日~
「ふわ~よく寝た。今日も学校か行きたくねーなー。ハァ・・・。」
初めまして俺の名前は前田綾人、尋常高校2年生だ。
高校では陰湿なイジメや野球部たちから二日に一回ぐらいは陰に連れてかれて殴る、蹴るの暴力を受ける日々で俺は学校に行きたくない。ただ、親に心配をかけたくないために言わずに頑張っている。
「綾人~~!朝ごはんで来たわよ~早く降りてきてごはんたべなさ~い!」
母さんが下から朝食を教えてくれた。
「わかったよー!今行く。」
なんでこんな身の上話を一人でしてるんだ?今日はおっかしいな?
「いただきます!」
「綾人~ここにお昼置いておくからちゃんと持っていくのよ。」
「ごちそうさまでした。わかったよ母さん。そろそろ時間だから行ってきまーす!」
綾人が高校の自分のクラスに入ると、
「おいおい、なんか急にクラスが臭くなんなかったか!」
「そうだなくせぇくせぇww」
「きっと、あの不細工ヤローがクラスに入ってきたからじゃねぇーかwww」
「お前このクラスにはいんじゃねーよ!このクラスが生ごみ臭くなるだろ!!」
「「「ゲラゲラゲラwwww」」」
野球部の奴らがまた俺に向かって帰れとバカにしながら言ってくるが無視するしかない。そうしないとまた殴られるからどうしようもない。
(くそ。なんで俺があんなこと言われなきゃいけないんだ!俺は毎日風呂にだって入ってるし清潔にしてる!お前たちのほうが土できたねぇよ!)
「だっさ。」
今俺に対して言ってきたやつは俺の幼馴染の金城雫。
俺とは正反対でとても社交的でクラスの女子のまとめ役みたいな立場にあり、クラスカーストの中でも最上位にいる。
さらに雫はとてつもない美少女で、クラスどころか学年でトップ3に入るほどの美少女でよくモテている。
俺とあいつは小学校まではよく遊ぶ仲だったが中学に入ると同時に疎遠になり、今では一言として放さないようなほぼ他人になってしまった。
「ねえ雫、あいつ雫の幼馴染でしょ。助けてあげたら笑笑」
「いやよ、どうしてあんなやつを助けなきゃいけないのよ。あんなやつ幼馴染でも何でもないわよ。」
「雫きびしー笑笑前田君かわいそー笑笑」
雫の周りにいる女子から俺をからかう。
(余計なおせっかいだよ!俺だってあんな奴知るものか!!)
俺はいつも通り自分の席について寝たふりをして授業が始まるのを待った。
放課後、授業中とかには何もない珍しく静かな日だった。
「おい、綾人お前こっち来いよ。」
「俺らといつも通り少し遊ぼうぜ。」
訂正、いつも通りだった。
校舎裏にて
「お前気持ち悪いんだよ!!」バキィ!
「お前みたいなやつが金城さんの幼馴染だって聞くだけで寒気がするんだよ!!」ドガァ!
「俺なんかお前を見るだけで吐き気がするわ!!」ドゴォ!
「言いすぎだろ笑」ベキィ!・・・ドサァ...
「何許可なく倒れてんだよ!ささっと起き上がれオラ!!」ドガァ!
「ふう。そろそろお前たちもやめてやれ。俺たちの大切なサンドバックが壊れちまうだろww」
「そうだな。そろそろやめてやるか壊れても困るしな。」
「お前が言うなよwwお前が一番やってたじゃねぇかwww」
「おらぁ!さっさと帰りやがれ!」ベキィ!
「最後にそれやるとかお前やるわwww」
こうして倒れた俺を置いて野球部の奴らは部活をしにいった。
「いててて、あいつら徐々にやることエスカレートしてねーか?下手したらあいつらに俺殺されるんじゃねーの。」
こうして、体がボロボロになりながら家に帰っていると雫とばったり遭遇した。
「うわ、いやなのにあった。」
「いやなのとは何だよ雫。少しは心配の言葉をかけてくれよ。」
「ふざけんじゃないわよ自業自得じゃない。あんたがもう少しまともで不細工じゃなきゃイジメられないんじゃないの。ていうか、私にもう声かけないでって言ったでしょ!もう話しかけないでよねあんたとは幼馴染でも何でもないんだから気持ち悪いのよ!」
「うっ。わかったよ。もう話しかけないようにするよ。」
「そう。ならいいわ。学校なんて辞めたいなら早く辞めてよね、目障りだから。」
そういいながら雫は家のほうに帰っていった。
俺は何とか足を引きずりながら家に帰って来ることが出来た。今日はいろんな意味できつい一日だった。
「綾人お帰りなさい!早く手を洗って着替えてきなさい、ご飯の時間よ!」
「わかったよ。」
両親にばれないように一生懸命痛みを隠しながら心配かけないように頑張った。
~その夜~
はあ・・・。俺がもう少しまともな容姿を持っていたらどんな生活をしてどんな友達がいたんだろうな・・・。いや、ifのことばかり考えても意味はないよな。どうせだったら、エロ小説みたいな美醜逆転の世界に転移してハーレムを作ったら最高だろうな。まあ、そんなバカげたことありえないし、俺じゃあ一人を養うだけで精いっぱいで二人以上になったら刺殺されるに違いない。そろそろいい時間だし明日はイジメられないことをクソも信じていない神様に祈りながら寝よう。
「こんなくそな人生をくれてありがとうよ神様。どうか明日は今日よりはマシな日にしてくれよ。」