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賭け
カナと、椅子に座って時間をつぶしていた。
「ねえ、ヒロってさ。他に好きな人、いるんでしょ?」
「えっ?どうして?」
「なんだか感じるんだ…。そんなふうに」
ユリは不満そうだった。
「どうしたの?」
「賭けてたんだ…」
「賭け?」
「試験で点数のいい方が、甘いものおごるって」
「で、負けたわけか…」
「そう…。なんか、すごくくやしい。すっごい、勉強したのに」
「じゃあ、気晴らしに、なんか食べない?」
「…そーする」
僕らは好きなものを買って、ベンチで食べた。
「少しは、気分、よくなった?」
「…うん」
「よかった」
僕はユリのほっぺにキスした。
カナと椅子。
「…うん。いるかもしれない。好きな人」
「そっか。仕方ないよね…」
カナが僕の自然なほほの方にキスした。