4/30
現実って
カナと病院の廊下を歩く。
「手術の跡が落ち着いたら、人工皮膚を付けるんだって。だから、普通と見分けがつかなくなるんだって」
「へー…」
外はキレイ青空だった。僕らはベンチに座った。
「気持ちいいね」
「外に出られたら、もっと気持ちいいだろうな…」
「外か…」
僕らはあんなことをして、外からここに逃げ込んだのかもしれない。
「外に戻りたい?」
「…あんまり」
気がつくと、教室で昼寝していた。
放課後。サチと街をぶらぶらした。
「外って、好き?」
「へ?外?」
サチがキョトンとしている。
「うちにいた方が落ち着かない?」
「なにそれ、誘ってるの?」
サチが笑った。
どっちが現実なんだろう?