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どうせいっちゅねん!

 私は異世界に戻された。初めにいた場所とは違うようだ。

足元には、花が咲いている。500メートルくらい先には森もある。


 ハッとした。私は服を着ていた。しかし、なんだこれ?

女の着るワンピースに似てるぞ?ボロボロだし・・・。

靴もある。皮の靴だ。これもボロボロだな・・・。

帽子もあるな・・・。トンガリ帽子だ。ボロボロだな・・・。

服のポケットを探ると手紙が入っていた。

私は読んでみる。


 魔法使いの竜二さんへ

 天使からのプレゼントです♪

 魔法使いの服に、魔法使いの帽子、皮の靴に、魔法の杖です。

 それに200ゴールドだよ。

 全部、新品なので、大切に使ってね。ウフ♪


 なに?魔法の杖、そんなもんねーぞ?それにゴールド。

ゴールドっつう事は金だよな?それもねーぞ?

それに何が新品だ?これ、どうみてもボロボロじゃねーか!

なんだこれ?嫌がらせか?俺が何をした?

なにが天使だ!「死ね!、天使死ね!、うんこ踏め!」

ハァハァ・・・。息を切らせながら青空に悪態をついた。


 いささか興奮していたようだ。私は冷静になろうとした。

足元を見渡す、魔法の杖はない。当然だが、ゴールドもない。

はて、どうしたものか?

周りを見渡してみる。誰もいない。モンスターもいない。

森が見えるだけだ、目的地は森だな。それしかないし・・・。

森にモンスターがいれば、どう戦う?

私は考えた。魔法だ!幸運な事に私は魔法使いだ!


 しかし、魔法の杖がないぞ。マジか!どうする?

素手で戦う?いやいやいやいやいや、ありえへん!

買う?しかし街もないし、人もいない・・・。

そもそも、金がない・・・。

天使の奴・・・。嫌がらせにも程があるぞ!

このままでは、使命を果たせない・・・。

それどころか、ここで死ぬ可能性すらある。

食い物も水もない。

試しに足元の花をちぎって、食べてみた。

「ペッ、ペッー」

当然、食えない・・・。


 はっはーん。天使の奴め、どこからか見ていて、俺をからか

っているんだな?

困っている姿を見て、笑っているんだな?

まぁいい、杖と金は後でくれるはずだ。

ムカツクが許してやろう!

「天使、出てこーい!もう十分、笑っただろ?」



 時計がないから分からないが、3時間くらい経つだろうか。

私は天使に、ずっと呼びかけていた。

天使は現れない。空から杖が落ちてくるでもない。

うーん。もしかして、マジで忘れた?置き忘れた?

しかし、どうだろう・・・。

服や靴、新品だと手紙に書いていたが、どう見ても新品ではない。

これ確信犯だよな?絶対、悪意あるよな?

「天使死ね!毎朝欠かさず、うんこ踏め!死ねー!死ねー!」


 私は考えてみる・・・。魔法には必ずしも杖が必要なのか?

確かに、魔法の杖って名前がついている。

でも、魔法には呪文を唱えるって手もあるはずだ。

ゲームやマンガの勇者が魔法の杖を持っていたか?

私は勇者ではないが、勇者が杖なしで魔法を使えるなら、魔法使い

の私も杖なしで魔法を使えるはずだ。

そうだ呪文だ!私は呪文を唱えてみる事にした。

「ファイヤ!ギラ!アイス!ベギラマ!ウィンド!・・・。」


 時間が経つのも忘れ、私はあらゆる言葉を並べたてた。

しかし、魔法が使えない。

私は困り果てた。花畑に座りこんだ。

どうする?森に行く?いや、危険だ・・・。

命は1つしかない。冒険は出来ない。

私は途方にくれ、空を見上げた!


 空を見上げると1枚の紙が、ひらひらと落ちてきた。

私は、その紙を掴みとり、見てみた。

なにか書いてある。手紙のようだ。


 魔法使いの竜二さんへ

 私ったら、おっちょこちょい♪

 魔法の呪文を書くの忘れちゃったー。

 呪文はね。

 テンプルテンっだよ♪

 これでモンスターやっつけてね♪


 なんだこの、間抜けな呪文は?しかし、これでモンスターと戦える。

本当に魔法が使えるのか試すために、私は立ち上がった。

大きな声で「テンプルテンっ!」と唱えた。

うん?なにも出ない・・・。発音が悪いのか?アクセントか?

「テンプルテンっ!テンプルテンっ!テンプルテンっ!」

うーん、なにも出ない・・・。


 かれこれ2時間は、テンプルテンっを唱え続けていただろう。

私は座り込み考えていた。

なにも出ない。やられた。

天使にやられた。また、やられた。

正直、悔しい。悔しすぎる。

私の怒りはマックスに達した。


 私は立ち上がり青空に向かい、大声で叫んだ!

「どうせいっちゅうねんーーーーーーーーーーーーーーーー!」

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