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ナンバルゲニア・シャムラードの日常 84

「さてと……」 


 シャムが立ち上がると玄関から要とカウラが飛び出してくる。


「シャム!早くしろよ!」 


 怒鳴りつける要。シャムは渋々その後を軽いランニングでグラウンドへと向かう。


「揃ったな」 


 軽くジャンプしながら迎えたのはランだった。だるそうに頭を掻くフェデロ。ロナルドと岡部はスクラッチをしている。そんな二人の前で手持ち無沙汰で立ち尽くす誠とアン。


「今日は並走は?」 


 シャムの言葉にランがグラウンドの果てを指差した。


 北風の吹きすさぶ中、一台の自転車がシャム達に近づいてくる。部隊の備品の古い家庭用自転車に乗るその巨体がその人物が誰であるかを知らしめている。


「なんだよタコか」 


 要がめんどくさそうにつぶやいた。タコと呼ばれたランの先任の保安隊副長明石清海中佐が颯爽と自転車をシャム達の前に止めた。


「明石。一言言っていーか?」 


「何ですか?クバルカ中佐」 


 剃りあげた頭を撫でながらサングラスを光らせる身長2メートルを超える大男にランはため息をついた。


「自転車壊すんじゃねーぞ」 


「あ?……ああ、大丈夫なんちゃいますか」 


 そのまま自転車から降りて固定する明石。その様はまるで子供用自転車を片付ける親のように見えてシャムは噴出しそうになった。


「ああ、今日はオフやったんやけど……明華はんはダウンしとるからな。西園寺。久しぶりに練習頼むわ」 


 そう言うとそのままポジションであるキャッチャーのポーズを取る明石。彼の転任で野球部の正捕手を務めている岡部が複雑な表情でそれを見つめていた。


「見ての通りだ。これなら西園寺がぶっ倒れてもフォローできるだろ?」 


「確かに」 


 ランの言葉にカウラが大きくうなづく。隣で要はいかにも不服だと言うように口を尖らせながら手足の関節をまげてその機能を確認している。


「それじゃあ行くぞ」 


 ランはそのままゲートに向けて歩き出した。シャム達も久しぶりの明石の姿をちらちら見ながらもランに続いてゲートへと歩き出した。




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